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テオレマのFancyDressのレビュー・感想・評価

テオレマ(1968年製作の映画)
5.0

テオレマとは、定理、定式の意味である。

本作は五月革命の時期に作られた映画であり、五月革命の影響も匂わせる。

本作のストーリーは極めてシンプルである。イタリア、ミラノに住むブルジョワ一家の豪邸に、異星人又は、エロース(性愛の神)又は、イギリスから来た男(by.ソダーバーグ笑)、テレンス・スタンプが演じる一人の男が現れ、ブルジョワ一家全員とメイドを、彼のセックスアピールで虜にして、骨抜きにして去っていく。そして、ブルジョワ一家は崩壊する。しかし、メイドだけは、ブルジョワジーではないので、奇跡をおこし、宙にも浮きはじめ聖人になるという話。

本作、『テオレマ』は、その後の様々な作品に影響を与えているともいえる。

日本では、たとえば、森田芳光監督の『家族ゲーム』はもろ『テオレマ』の影響下にある作品だといえるし、石井聰互監督の『逆噴射家族』もある意味では、『テオレマ』に近い感覚がある作品である。

しかし、やはり本作である。映画として圧倒的なのである。
本作は、どこをとっても映画なのである。

また、本作における、エンニオ・モリコーネのジャズな音も絶妙である。

俳優の人選も絶妙である。

ブルジョワ家族をかき乱す謎の主人公を演じた、テレンス“イギリスから来た男”スタンプをはじめとして、
欲求不満な妻役がシルヴァーナ・マンガーノ(エロい!w)。
旦那役は、ヴィスコンティ作品などに出ている、マッシモ・ジロッティ。
メイド役に、パゾリーニの大ファンであり友人でもあった、ラウラ・ベッティ。
メッセンジャー役に、パゾリーニ作品の常連俳優である、ニネット・ダヴォリ。
そして、娘役が、ゴダールの元女房であり、『中国女』などに出ていた、アンヌ・ヴィアゼムスキー。

必見の傑作。
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