福井康之

羊と鋼の森の福井康之のレビュー・感想・評価

羊と鋼の森(2018年製作の映画)
3.8
まずはじめに、調律師という人がいるのは知ってたんだけど、音楽に精通する人がなるもんだと思ってたので、この映画の主人公である外村君みたいにズブの素人が突然なろうと思ってなれるものだとは知らなかった。

「森の匂いがした。」

高校2年の外村はこのまま高校を卒業して、なんとか生きていければいいくらいに思いながら日々を過ごしていたが、2学期のある日、学校のピアノを調律しに来た板鳥に教わりピアノに触れたことをきっかけに、2年かけて東京の調律学校を卒業し、故郷である北海道の楽器店の就職した

「いい羊が、いい音をつくる。」

板鳥のいる江藤楽器で、指導係に任命された柳に付き添い、外村はいろいろなことを学んでいくが、柳が担当していた佐倉家で努力型タイプな姉の和音と、天才肌タイプな妹の由仁と出会い、それぞれの弾くピアノの音色に魅了されながらも調律の難しさを改めて感じていく

「きっと、ここから始まるんですよ。」

調律師の仕事てよくわかんないけど、外村君の疑問に答える柳のシーンとか見てると、どの仕事も似たところがえるなと改めて思う。新人だろうと熟練者だろうと客から見ればどちらもプロなんだってこととか、まずは客との意思の疎通が大事だってこととか、板鳥さんの存在がまためちゃくちゃいいですね。

前半のピアノの音色に森の木々の映像とか、最初の佐倉姉妹のピアノの映像とかめっちゃ良かったですね。でも、最後の方でピアノ演奏の映像の合間に、演奏者が水の中でもがいてる映像が挟まれるシーンがあるんですけど、何故かあのシーンは邪魔に感じてしまった。あと、外村君の心境的なものはわかるんだけど、佐倉姉妹の方がどうなのかってのがわかりづらくて、クライマックスに至るまでそれが引っかかってしまって、ちょっと?な感じの部分があったのが残念だった。

なんにせよ、僕みたいにドレミファソラシドくらいはわかるよなんて奴には調律師は無理だなってことだな。
福井康之

福井康之