はんぺん

アフターマスのはんぺんのネタバレレビュー・内容・結末

アフターマス(2016年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

シュワちゃん全盛期から観てる身からすると、ジジイ体型になったシュワちゃんのお着替えシーンで既に切ないのに、映画の内容も切ない。

映画の中身としては、シュワちゃんの平坦な演技がいい意味で感情移入させないなぁ、と。
淡々と演じる俳優陣のおかげで、キャラクター軸ではなく、あくまで自分軸で出来事をどう思うかと自問自答しながら観れました。

感想移入させないことによって、観客に事故の過失も殺人も正当化させない、同情させない。誰かが悪いわけでもない。

シュワちゃんという『=アクション・ドンパチ・肉弾戦』が代名詞なビックアクターを起用したにも関わらず、事件の重苦しさや生々しさを表現できてたと思う。

最後に殺されず立ち去るのがミソだと思う。

個人的な考えだけれど、ノンテロップ・数カットで過ぎた10年という長い歳月の描写、これはノーマンにとっては短い期間だったことを意味しているのが窺える。
一切謝罪を口にしない管制官や航空会社に憤りをぶつけたように、人の命を奪っておきながら直接的な罰(死刑とか)を与えられない自分、(何かしら機会が与えられなかったのかは甚だ疑問ではあるが)遺族の自分が最も求めていた『謝罪』が出来ない加害者の自分に憤りを感じたまま過ごした10年だったのかなと考察。

サミュエルにやるべき事をしろと発破をかけ、直接謝罪を述べてから殺される事で贖罪と自分の生を終えようと考えていたのか、サミュエルが銃を下ろした後のノーマンはどこか覚束ない。

ノーマンのフェードアウトで映画は終わる。
この『フェードアウト』という動きを持ったラストであることで、ノーマンの人生はまだ終わらない、贖罪もまだ終わらない、

私は捉えた。

途中カットインする飛行機曇、墜落する飛行機、いろいろなところにコトの行く末を示唆する工夫が鏤められていてわかりやすかった。

淡々とした演技×ストーリーの明瞭さによって、観客自身で感情を持ってもらいたい映画だったんじゃなかろうかと、まとめてみる。
はんぺん

はんぺん