飲み歩いて談笑してクラブで踊るといったいわゆる「エモい」シーンはあまり好きではなかったけど、脱力して素を出しているように見えてなんてことない言動で簡単に壊れそうな雰囲気を保つための各々の気持ちや関係性がだんだん変化していく感じはとても良かった
3人が互いに干渉しない・干渉されないことでつくられたモラトリアムと決別する瞬間のための映画
「面倒くさい関係は嫌」と言った彼女がその面倒くさい関係に自ら入り込んでしまったけど、自分自身と向き合うことで静雄と一緒にそこから逃げようとする
その時、取り残された「僕」はこのまま逃げ続けるか自分も本心に向き合うかを迫られる
バイト先のムカつく先輩相手にスカし、彼女にもスカし続けた「僕」が痛い目にあってようやく本心と向き合うラスト
「僕」の本心を初めて曝け出した羞恥心と緊張感と高揚感と、佐知子のさまざまな感情が爆発した表情で終わる
この瞬間のためにこの映画を観ていたんだ
素晴らしい
石橋静河もこの作品の魅力のひとつ
すごい美人というわけではないけどどこか惹きつけられるものとどこかに行ってしまいそうな危うさがある
彼女の作品をもっと追いたくなった
