ハル

きみの鳥はうたえるのハルのレビュー・感想・評価

きみの鳥はうたえる(2018年製作の映画)
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容易く言語化できない感情や思いを表情が語る、それを捉えるカメラ、演じる演者の秀逸さよ。言語化できないことなんて世の中にも人生にもいっぱいあって、そういう微妙で、わかりやすさの隙間に零れ落ちていってしまうようなものを掬い取るような演出だった。切り返さない会話のショットは観客にわかりやすさを提供しない。わたしたちはかれらもかれら一人一人のことも完全に知り得ないし、かれら同士も全てを分かち合うことはない。ただ無言のかれらが語ることを取りこぼさないようにカメラは何度も何度もかれらの表情に寄る。

石橋静河がハナグレミを歌うカラオケシーンが好き。石橋静河の歌唱はもちろん、染谷将太のアップで映される表情と一緒に口遊む歌声がちょっと聞こえるところまで、猛烈にいい。
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