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きみの鳥はうたえるのnkのレビュー・感想・評価

きみの鳥はうたえる(2018年製作の映画)
4.4
公開した時に、映画館で観て以来の再見。

いつまでも、この時間の中に身を置いていたいと思える映画。

目を背けているからこそ、輝く時間がそこにある。

こんな日々がいつまでも続くなんて、誰も思ってない。でもそれを口に出すのは野暮でしかないし、彼らはそれをわかっていて、存分にその時間を享受して生きている。

あと、こんなに朝が愛おしく思える映画って他にないなって思う。

朝は1日の始まりで、希望の象徴みたいに描かれることも多いけれど、彼らにとって朝は、1日の終わり。楽しい時間が、太陽と眠気とともに消え失せていく。

もっとそこにいたいのに、時間は必ず元の場所に彼らを連れ戻す。

原作では、静雄は病に倒れた母を、最後には手をかけてしまうという。(映画冒頭にその伏線と思えるシーンもある)

その結末を知って観るのは反則な気もするけど、でもそれを知ったことで、尚更彼らの時間の刹那が痛いほどに心に迫ってきて、この映画の時間にずっと浸っていたいと思う。
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