帰ってきたフィヨルド

マザー!の帰ってきたフィヨルドのネタバレレビュー・内容・結末

マザー!(2017年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

なかなか不条理すぎて笑えましたねー、リアリティが段々喪失してもはやストーリーが進む程にギャグの域。

バイオニックな家はバートンフィンクを思い出し、また聖書ネタなのかなーと思って調べてみるとあらその通り。あちらも執筆に行き詰っていたし、いわばリメイクのような感じか、ダーレン・アロノフスキーも影響を受けてると思う。
しかし正直言って私がもっと感じたのは、この映画は作品を作る監督目線の映画なんだなと思う。あくまで自分はこう見えたというだけです。

赤子=商業的な創作物の隠喩
夫婦=監督(作家)
家=監督の頭
家に住み着く一家=制作における外的な障壁
暴徒の大群=映画を鑑賞する消費者

まず夫婦は各々が生み出すべき願望に対する難産という問題に陥っている。執筆という難産、子供を授かれないという難産(そもそもの行為のレス)で、とにかくその行為を正常に行えないような邪魔が入る。
作品制作における人的な外部圧力、資金や納期などのリソース的な障壁と捉えると、中盤で執筆作業が進み、本が売れ、子供を授かるというところで、まずは作品を世に発表できる状態になったと言える。
そして子供(作品)は夫(作家)にとっては消費される運命にあるものなので、消費者である暴徒の大群に見せてあげなきゃいけないと言う。そしてそこでは身勝手な消費者に無惨な扱いを受け、あの結末を辿るというラスト…。
妻のお腹から輝く石が出てきたのは、自分の作品を身勝手に、無責任に消費されたとしても、創作の原動力というか、ピュアな創作意欲みたいなものは体にまだ宿っているといったところか。
そしてまた監督は作品を生み出すというループに戻る…消費者という暴徒のために、また難産の末にやっとこそさ生まれた作品は奉げられるだろう。とてもリアリティというよりも寓意的なストーリーで、聖書のんが分かればもっと楽しめるんだなと思いました、残念。でも個人的な鑑賞の角度が割と自己満足してるので、本当のネタはあるにせよ自分の中で完結したので満足です。