IDOSHUN

オールド・ボーイのIDOSHUNのネタバレレビュー・内容・結末

オールド・ボーイ(2003年製作の映画)
2.9

このレビューはネタバレを含みます

胸糞と言われてる事が多いが、オチを除けば素晴らしい作品。
復讐するハズが、逆にされていた。
2時間が、あっという間でした。

【起】

韓国の平凡な会社員オ・デスはある夜、悪酔いして警察署に連行されます。友人のジュファンが迎えに来てくれてやっと釈放されたデスは、この日誕生日を迎えた娘のヨニに公衆電話から電話をかけます。デスはヨニのために、誕生日プレゼントの小さな天使の羽根を買っていました。

しかしジュファンが少し目を離した隙に、デスは姿を消してしまいます。デスは何者かに連れ去られ、場所もわからないどこかの部屋に監禁されてしまったのです。デスは監禁された理由もわからないまま、ドアの小窓から出される餃子を毎日食べ続けていました。

部屋にはテレビがあり、デスは自分の監禁中に妻が殺害され、自分がその犯人として手配されていることをニュースで知ります。時には気が狂いそうになりながらも、デスは手の甲に監禁された年月を刻み、部屋の壁に少しずつ脱出用の穴を開けながら、耐え続けます。

更にデスは、テレビで見たボクシングの試合などを参考に、体を鍛え格闘の技を独学で身につけていきます。そして、監禁生活も15年に及んだある日。遂に壁の穴が外に通じ、あと1ヶ月で脱出出来る目処が立ちます。



しかしその夜、デスは謎の女に催眠術をかけられ、目覚めた時にはどこかのビルの屋上に放り出されていました。15年の監禁生活は、始まった時と同様、突然終わりを告げたのです。

そのビルは、デスが拉致された場所、あの公衆電話があった場所に建てられたマンションでした。マンションから出たデスは、行くあてもなくさまよい、若いチンピラたちに絡まれます。しかしデスは、監禁生活で鍛えた格闘の腕前で、チンピラたちを殴り倒します。

その後デスは、見知らぬ男からサイフと携帯電話を渡されます。その男も、デスにそれを渡すことを頼まれただけのようでした。そしてデスはそのまま、目の前にあった寿司屋にふらりと立ち寄ります。寿司屋には若い女職人がいましたが、デスもその女も初めて会ったはずなのに、お互いにどこかで見かけたような気がします。

すると渡された携帯に、謎の男から電話が入ります。お前は誰だと尋ねるデスに、男は「私が誰かより、なぜ監禁されたのかが大事だ。自分の人生を復習うするんだ」と語り、「待ってるよ」と言い残して電話は切れます。


デスはそのまま寿司屋で気を失い、目覚めると女職人の部屋にいました。しかし女は別にデスに気があるわけではなく、ただ倒れたデスの介抱をしてくれただけでした。女は、「変なことをしたら刺し身にするよ」とデスに通告します。

ただ、女もデスが嫌いというわけではなく、お互いに気持の準備が出来たらその時は、とデスに告げます。女はミドという名前で、デスが監禁中に蟻の幻覚を見たと知って、孤独な人は蟻の幻覚を見るのよと語ります。ずっと1人きりで暮らしてきたミドもまた、蟻の幻覚を見たことがあったのでした。

その日からデスは、ミドと一緒に自分の「失われた15年」を探し始めます。妻の死後、行方のわからなかった娘が現在住んでいるという住所を探し当てましたが、デスは娘に会うより、まずは自分を監禁した奴を見つけ、復讐するのが先だと心に決めていました。

【承】

唯一の手がかりは、15年間毎日食べさせられた、あの餃子の味でした。デスは色んな店を巡って、餃子の食べ比べを始めます。そして遂にデスは「食べ覚え」のある餃子を発見し、その餃子を遠くから出前で取っているビルを探し当てます。

デスが出前持ちの後を追ってそのビルへ行くと、そこでは7階と8階の中間「7・5階」で、多くの人物を監禁する「監禁ビジネス」をしていました。デスはそのビジネスのオーナー・パクを拷問して、自分を監禁した人物を吐かせようとします。

パクの部屋を出た廊下には、大勢の部下たちがデスを叩きのめそうと待ち構えていましたが、デスは傷つきながらも部下たちをなんとかなぎ倒します。しかしビルを出て力尽き、デスは道端で倒れてしまいます。

ある青年がデスを助け起こし、タクシーに乗せてくれましたが、その青年はタクシーが走り出す間際に「あばよ、オ・デス」と呟きます。その青年がデスを監禁した当人で、デスの行動を見張っていたのです。



ミドの部屋で手当を受けたデスは、監禁ビジネスの部屋で入手した録音テープを聞きます。そんなデスを、窓の外からひっそりと監視している人物がいました。

翌日デスは、友人のジュファンに15年ぶりに会いに行きます。ネット喫茶を経営しているジュファンの手を借りて、デスはミドのチャットにアクセスしていた怪しい人物を突き止めます。その人物の住所は、なんとミドの部屋の向かい側の建物でした。

デスが向かい側の該当の部屋に行くと、デスを道端で助けた青年が待っていました。デスは青年の首を締めにかかりますが、青年は「俺を殺したら、なぜ監禁されたかがわからないぞ」と、残り5日間でその謎を解くようデスに忠告します。期限が守れなければ、ミドを殺すと青年はデスを脅します。

デスは監禁ビジネスのオーナーにしたように、青年を拷問しようとしますが、青年は小さなリモコンを取り出します。それは心臓の弱い青年が、胸に埋め込んだペースメーカーのリモコンで、青年はこれで自分はいつでも自殺出来るんだと豪語します。


苦悩するデスを他所に、青年は部屋を去っていきます。去り際に「あの子は大丈夫か?」と青年が言い残したのを聞いて、デスは急いでミドの部屋に戻りますが、ミドは監禁ビジネスのオーナー、パクとその手下によって縛り上げられていました。

パクはミドを人質に、自分がされた拷問をデスにやり返そうとします。デスも覚悟を決めますが、そこに青年の手下がやって来て、パクに大金を渡します。パクは金を受け取り、手下と共にミドの部屋を去って行きます。

最初は見知らぬ自分を部屋に上げたミドを疑っていたデスでしたが、そのことを反省し、自分がミドを愛し始めていることに気付きます。ミドも同じくデスを愛し始めており、部屋に戻った2人は激しく抱き合います。

【転】

デスはミドと一緒に、再びジョファンのネット喫茶へ趣き、ミドのチャットから見つけたキーワード「エバーグリーン」から、サンノク高校同窓会のホームページを見つけます。それは、デスとジョファンが在学していた高校でした。

デスは卒業生のアルバムから、自分を監禁した青年の若き日の姿、「イ・ウジン」を見つけます。更に、同級生のイ・スアという女学生が、在学中に死んだことを知ります。ジョファンは、イ・スアは筋金入りのアバズレだったと語ります。

そして、イ・スアをアバズレだと言ったジョファンを、ウジンは刺し殺します。スアは、ウジンの姉だったのです。ウジンの言った期限が迫り、デスはミドを監禁ビジネスのビルに連れていき、パクに期限までミドを監禁するよう頼みます。そこが一番安全だと考えたのです。

デスはスアが死んだ理由を突き止めるため、もと同級生の仕事場を訪ねますが、逆に一番知っているのはデス自身だと言われてしまいます。そこでデスは、忘れていた記憶を蘇らせます。



デスは高校時代、サンノク高校を転校する前日、校庭でスアを見かけました。そしてその後、スアとウジンが屋上の実験室で、姉弟で愛し合っているのを目撃してしまったのです。

デスはそのことを、引っ越し間際にジョファンに話してしまいました。ウワサはあっという間に広まり、それを苦にしたスアは、地元のダムで入水自殺しました。デスを15年間監禁したのは、姉を愛していたウジンの復讐だったのです。ウジンが言った期限の日は、スアが死んだ命日でもありました。

デスはウジンが言っていた聖書の言葉からヒントを見つけ、ウジンのいる高層ビルを突き止めます。デスがビルのエレベーターに乗り込むと、そこにウジンと用心棒役のハン室長という男も乗ってきて、3人は最上階のペントハウスに向います。


デスは、ウジンがスアを妊娠させてしまい、それが発覚するのを恐れてウジンがスアを殺したのだと考えていました。しかしスアは実際には妊娠しておらず、スアの死後にそれを知ったウジンが苦しみ、デスに復讐を誓ったのだと推理したのです。

しかしそれを聞いたウジンはほくそ笑み、それまで黙っていた秘密を語ります。デスが解放される前日、デスに催眠をかけた女は、ミドにも催眠術をかけていました。そして、出会った2人が愛し合うような暗示をかけていたのです。

ウジンは「重要なのは、なぜ監禁したのかではなく、なぜ解放したのかだ」と語り、デスにリボンの付いた箱を指し示します。デスが箱を開けると、中にはアルバムが入っていました。アルバムの最初のページには、デスの娘・ヨニの幼い頃の写真がありました。

【結】

アルバムのページをめくるうち、ヨニが成長していく過程が写真でわかります。そして、大人になったヨニの姿は、デスと愛し合ったミドの姿そのものでした。デスは、自分の実の娘と愛し合ってしまったのです。これが、ウジンの長い年月をかけた執念の復讐でした。

デスは狂ったように叫びながら、ウジンに向かっていきます。しかし、用心棒のハンに何度も跳ね返され、ハンはデスにとどめを刺そうとしますが、ウジンがハンを射殺します。

その頃、ミドのいる監禁部屋に、パクが来ていました。パクはデスが開けたのと同じ箱をミドに差し出し、開けろと言っていたのです。パクはデスと電話を繋ぎ、ミドに代わります。デスはミドに、絶対に箱を開けるなと叫びます。

そしてデスはウジンに、何でもするから、ミドにだけは真相を伝えないでくれとすがりつきます。跪き、自分のクツまで舐めて哀願するデスを、ウジンは笑いを噛み殺しながら見下ろしていました。



デスは更に、スアのことを言い広めた自分の罪をあがなうため、ハサミで自分の舌を切り落とします。苦痛に悶え苦しむデスを前に、ウジンはパクに電話し、箱を開けないように伝えます。

ウジンは、「復讐を成し遂げたいま、自分はこれから何を生きがいにすればいい?」とデスに問い、ペースメーカーのリモコンをデスの前に放り投げます。デスはすかさずリモコンのボタンを押しますが、それはペースメーカーのリモコンではありませんでした。ペントハウスに、ウジンが盗聴していた、デスとミドが愛し合った夜の音声が流れ始めます。

デスが1人悲しみに絶叫する中、ウジンはペントハウスを後にします。そしてウジンは、スアが死んだ日のことを思い出します。ダムから身を投げようとしたスアの手を、ウジンは必死に繋ぎ止めていました。しかしスアは、私は後悔していない、私のことを忘れないでと言い残し、力尽きたウジンの手を離れ、ダムの下へ落下していったのでした。


そしてウジンは1人、自分の頭を拳銃で撃ち抜いて、自害します。その後デスは、自分に催眠術をかけた女を探し出し、雪山で面会します。ショックで髪の毛がすっかり白くなってしまったデスは、自分の忌まわしい記憶を催眠術で封印出来ないかと、依頼していたのです。

女が去り、雪山で目覚めたデスを、ミドが迎えに来ます。ミドはデスに「愛してる」と囁き、冷えた体を温めるように、固く抱きしめます。デスはミドに抱かれながら、泣き出しそうな切ない笑顔を浮かべるのでした。
IDOSHUN

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