ねこまるキャット

ナンシーのねこまるキャットのレビュー・感想・評価

ナンシー(2018年製作の映画)
3.6
『居心地』×『居場所』
自分を偽る事で人間関係を築く、虚言癖のある女性が、30年前に娘が行方不明になった老夫婦に「自分が娘かもしれない」と名乗り出て、触れ合っていくお話。

ジャケットからして「エスター」などを連想するかもしれませんが、ホラーでもなんでもなく、普通に"ヒューマンドラマ"です。

勘違いをする人が大多数かと思うので、作品として損してる気がしますが、実際このジャケットが気になり鑑賞に至ったので、それはそれで正解なんでしょうか。

画面のアスペクト比は序盤は小さく、新たな自分の居場所を求め、自宅を出る時にフルスクリーンに変え、心境変化にメリハリをつける演出。

良くも悪くも少し分かりづらく、あれ?いつの間にか変わってる、となってしまいました。

主人公はあまり恵まれない環境で育ち、自己防衛的なもので虚言癖が出来上がってしまったという印象。

あまり多くは語られず、自分で想像する類。個人的には好き。

娘が誘拐された母親が、半信半疑ではあるも、自分の娘が帰ってきたと信じたい気持ち。
その母親の心境を理解しつつも、"居心地の良さ"と"後ろめたさ"が同時に押し寄せる主人公の気持ち。

「悲しさ」「虚しさ」「寂しさ」そういったものを考察して楽しむ作品です。
ジャケット詐欺で平均点下がってる気もしますが、普通に楽しめました。

未鑑賞で興味があれば是非🐈