バナバナ

最初に父が殺されたのバナバナのレビュー・感想・評価

最初に父が殺された(2017年製作の映画)
3.7
ポル・ポト派の少年兵キャンプから脱出して、上手く赤十字キャンプに辿り着くことが出来たルォン・ウンさんの回想録を基に、ご本人に脚本を書いてもらい、アンジェリーナ・ジョリーが監督した作品。

ルォン・ウンさん一家は首都プノンペンで父親が軍人なのか警察なのか、とにかく上級公務員で裕福に暮らしていた。
しかし、1973年にアメリカがベトナム戦争を撤退したことから、隣のカンボジアでも共産主義のクメール・ルージュの力が強くなり、1975年にとうとう首都に侵攻してくる。
ウンさん一家は6人兄妹だったが、家族全員で田舎に逃げたものの、そこがポルポト派のキャンプになり、最初に父親が殺され、兄妹達はポルポト派の対ベトナム戦のための少年兵として、バラバラにされるのだった…。
本作は、一番末っ子の女児(当時7歳)のルォンさんの目線で描かれています。

ポルポト派の幹部達の多くは、地主の家系や、海外への留学経験のあるエリート階級の出が多かったそうだが、彼らが権力を持つと【文化浄化】と称して医者や教師、眼鏡を掛けている者、文字が読める者を大量虐殺し、自分達の言うことを素直に聞く10代以下の子供で兵士を量産した。

命令だったとはいえ、自分が仕掛けた地雷で、逃げ惑う同じ年頃の子供たちの体が傷付くのを見るなんて、しかも、自分もその地帯を通らなければ逃げられないなんてゾッとする。
子役の子が心に傷が残らないかと心配になるくらいだった。

カンボジア内戦が収束して民主化が始まると、日本でもニュース番組や特集番組で当時の虐殺の様子が紹介され、私もおおまかな事は知っている。
本作では少年兵が直接大人を大量処刑する場面などは無いのだが、それでも少年兵キャンプの様子が延々と続くので、気が滅入りました。
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