石

カンフー・ヨガの石のネタバレレビュー・内容・結末

カンフー・ヨガ(2017年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

 なんだろうね。なんか楽しそうなんだよね。こっちの勝手な思い込みかもしれないんだけど、こう……「こういうのやりたい!」を詰め込んで詰め込んでそのまま出した感じ。それでいてジャッキー映画の良い所も押さえてるからね、楽しいんだなこれが。

 ジャッキーのアクションは今作も冴え渡っていましたね。歳が歳だから継続したアクションが出来ないのかなって思うようなカット割の多さは気になりましたが、1954年生まれの63歳ですからね。十分動いてますわ。なんならジャッキー以外の役者が相応の動きをしてるので、後続が育ってるんだなとニヤニヤしたり。それでいてジャッキーの歳相応の役どころというか演技ですかね、素晴らしい。「意味が理解できない」演技のときの顔が本当にただの草臥れた爺さんなんですよ。いい感じに年季が入っていて、そういうのも役幅とギャグに持っていける凄い役者さんだなと。

 物語は……突っ込みだしたら切りがないんですよ、そんなの無限にあるから。一番笑ったのは金の仏像の前で乱闘を始めたところ。お前ら直前に「歴史に敬意を払え!」って言ってたじゃん。壁床に宝箱とかガシガシぶっ叩いていくんですよ。凄いよもう。雑に始めた展開が本筋と関係ないところで雑に完結していくんだからビビる。でもそれらが単体で面白いから良し。ジャッキーとライオンがドライブする映像なんて多分この先見れないですから良いんですよ。その上ライオンがゲロ吐くんだから凄いよ。関係ないもの、凄いよ。CGだけどね。そういえば今作CGの場面は本当にわかりやすくCGなので、違和感がすごかったですね。その上カクカクするんだな。あんまり良い環境じゃなかったのかな。クライマックスの金の仏像のシーンがビックリするほどカクついてた。もうなんかそれすらも面白い。

 よくよく考えたら直接人が死んでる描写って無いんですよね。車が勢い良く吹き飛んでいくところとかあるけど。最終的なオチは「勝ったのは農民」ですよ。富も材も皆のもの。ラブアンドピースで敵も味方も踊り散らして大団円っていう。インド映画噂には聞いていたけど、本当に全員で踊るとは思わなんだ。しかもそれで丸く収めようとしてるっていう押しの強さ。全員本当にニッコニコで踊ってるの、『エクスペンダブルズ』だって劇中は男と男が睨み合って銃乱射してたぞ。だけどね、なんだかこう不思議と感極まって涙が流れてきちゃいましたね。私は『最強のふたり』のダンスシーンとか、『ララランド』のミュージカルシーンでもいちいちグッと来ちゃうタイプなんですけど、今作でもイケましたね。最終的にスタッフみたいな人たちと適当に踊ってましたからね。本当になんか楽しそう。聞くに、インドと中国は国境問題を含む外交的な面であまり友好的ではないとのこと。その両国でのヒットメーカーかつ合作を企画制作できるのはジャッキーのみであり、ジャッキー主演で実現したのが今作。そう聞くと平和の踊りもそう悪いものでは無いです。みんなで踊るの卑怯説。楽しかったです。観終わったあと「あれ?『カンフー・ヨガ』って題名関係が無……もしかして……適当に付けた?」ってなるけど、面白かった!!エンドロールとか最後の1分弱無音で明らかに尺持て余してんだけど、それすらも愛おしい。そういう映画。
石