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南瓜とマヨネーズのhatthiのレビュー・感想・評価

南瓜とマヨネーズ(2017年製作の映画)
3.9
恋愛映画嫌いな私でも観れた映画。
私は基本恋愛映画が苦手で今まで色々観たけれどどれも感情移入できずつまらなかった。
嫌いな理由はリアリティの無さだと最近気づいた。
恋愛があって日常があるのではなく、
日常の中に恋愛があるというのがリアリティのある考え方のように思っているが、そうでない映画が多いように感じる。
しかしこの映画ではきちんと日常の中に恋愛があった。


せいいちのプライドの高さは自分にもあるように感じた。
人気のある尚美とバンドを組み売れることを考えているかつての仲間に言い放つ、自分はあえてフリーでやっているんだ、こだわりがあるんだというような言葉は、自分の中にある売れたいとか人気になりたいという心が傷つかぬよう、プライドが傷つかぬようそのような言葉で保険をかけている姿に目をつぶりたくなった。
また誘われたからといってさっきまで保険で話していたことを訂正することができないプライドの高さが自分と重なって見えた。


またオダギリジョー演じるクズ男のハギオはだれでも好きになってしまいなぜか惹き付けられてしまうと思う。それはオダギリジョーのビジュアルの良さというのもあるが彼の演技の技術の高さにあると思う。特にセリフの言い回しがとても効果的だった。久々の再会をしたシーンで語尾の「嫌だよー」などの毒のあるセリフの抜き具合が程よいため、どうしても憎めなかった。そして寝ぼけ方なども愛おしいと感じてしまい憎むに憎めなかった。
ハギオはオダギリジョーだからこそ演じられたのだなと感じた。

砂時計の表現はとてもよかった。
部屋にある砂時計はお金の上に重りとして使っていたがその砂時計は砂がすべて落ちていてもうせいいちと恋人でいる時間が終わってしまったという表現のように感じた。

全体的に余分なシーンが無くとても見やすく、とても好きな構成だった。
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