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南瓜とマヨネーズのmoeのネタバレレビュー・内容・結末

南瓜とマヨネーズ(2017年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

ミュージシャンという枠からこぼれ落ちてしまったような男と、惰性と独り善がりの感情のもと男と暮らす女の話。

まっさきに思ったのは、あなたのためにしてあげている、という気持ちは、思いやりのふりをした独り善がりになり得るということ。

ツチダは「せいちゃんが音楽に集中できるように」と働くけれど、そうしていないと、せいちゃんが働かないことを心の中でうまく飲み込めなかったのだろう。
でもせいちゃんは音楽はつくりたくなかった。寂しさや嫉妬やプライドに苛まれていたし、ツチダがいること、ツチダのすることがどこか足枷になっていた。ほんとうは過去から逃げたいのに、ツチダが求めているせいちゃんは過去に生きていたから。

ツチダはただのくそビッチである。
自信がないから誰かのせいにして、流されて生きていく、そんなツチダを演じるのが臼田あさ美で良かったと思う。幸薄感、疲労感、それが妙な色気になってとても素敵だった。

公園で赤いタオルにくるまって泣くシーンは、そんな経験ないのに、私もそんなことあったなあと疑似体験させられた。

せいいちはきっととても優しくて、最後の最後まで優しかった。
だからずっと辛かったんだろう。
最後、じゃあなって別れることも優しさだよなあ…

落ち込むからもう観たくないけど、私はいい映画だったと思う。
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