スタンダード

ウィンストン・チャーチル /ヒトラーから世界を救った男のスタンダードのレビュー・感想・評価

4.0
【1915年2月19日】
【連合軍、ガリポリの戦い敗北】


上記の責任を取り、
チャーチルは海軍大臣を辞任。


しかし、敗北者にも未来がある。


【1940年5月10日】
【チェンバレン、第60代首相辞任】


【同1940年5月10日】
【チャーチル、第61代首相就任】


【Darkest Hour】


第二次世界大戦最中、
イギリスは苦境に立たされていた。


🇬🇧外務大臣ハリファックスは、
先のない戦争に見切りをつけて、
『敵国🇩🇪との間で平和的な解決』
を模索していた。


しかしチャーチル🇬🇧首相は、
『🇩🇪との間で平和的解決は可能』
だとしても、
『卍との間で平和的解決は"不"可能』
と判断。


かくして、

戦争継続:チャーチル
vs
戦争反対:ハリファックス

の火蓋が切って落とされた。


【英国デパート】


あくまで僕のイメージですが、
本作からは下記の階層が思い浮かびます。


最上階:英国王ジョージ6世
4階:外務大臣ハリファックス
3階:チャーチル首相(ミニ61)
2階:庶民院(下院)
1階:イギリス国民


普通ならば、
チャーチルは最上階にいるはずですが、
3階という中途半端な階にとどまり、
上下に挟まれています。


【天空の城ジョージ6世】


しかしある晩、
『降りてくるはずのない人物』が、
『3階』に降りてきます。


その出来事は、
『上の階(4〜5階)』
ばかり見ていたチャーチルに、
『下の階(1〜2階)』
へ目を向けるキッカケを与えました。


【1940年5月26日-6月4日】
【ダイナモ作戦】


【ウィンストン・チャーチル】


チャーチルは頑固な人物ではありますが、
自身とは意見を異にする人物(政敵)を、
入閣させるだけの柔軟性は持っています。


チャーチル自身も、
自分の性分は理解しているため、
『あえて監視役を据えることで』
『自身とのバランスを保とうとした』
のかもしれません。


そこが、
『都合の悪い人物を切り捨て』
『常に最上階へ君臨しようとする暴君』
との違いです。


【ハリファックス】


結果として、
『チャーチルに敗北する形』
となったハリファックスですが、
彼の主張自体は共感できます。


『これ以上の負け戦をして』
『若者が血を流すのを見たくない』


僕は臆病であり、
死を恐れる人間のため、
成否や正否は別として、
彼の主張には安心を覚えます。


そんな彼が、
『まるで悪役として描かれている様』は、
どこか居た堪れない気持ちです。


とは言え、
本気で信念を貫こうとするならば、
『首相就任の打診を』
『正々堂々と受けるべきであった』
のかもしれませんが…。


【1940年12月】
【ハリファックス、外務大臣辞職】


【1941年1月】
【ハリファックス、駐米国大使就任】


敗戦国の日本やドイツにも、
未来があったのと同様、
敗北者のハリファックスにも、
未来があります。


半ば左遷のような形で、
『🇺🇸大使に就任したハリファックス』
ですが、
敵国ドイツに降伏しかけた経緯もあり、
駐在中に卵を投げつけられたみたいです。


しかし彼もチャーチル同様、
下の階に降りて、
アメリカ国民と触れ合うことで、
次第に信用を得たとのこと。


また、
『チャーチルからの支援要請を』
『断ったルーズベルトが』
『ハリファックスと親密になった』
というエピソードも興味深いです。


どんな人間にも人生があり、
それは一側面では語りきれません。
チャーチルもしかり。