Jack05

孤狼の血のJack05のネタバレレビュー・内容・結末

孤狼の血(2018年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

警察とヤクザ物語り。
役所広司の演技、ストーリー構成がとてつもなくよかった。今まで見たヤクザ映画ではダントツの1位。
似たようなヤクザ映画で"日本一悪いやつら"という映画があるが、ストーリー展開やオチ含めて満足いく作品ではなかった為本作のストーリー的な部分であまり期待をしていなかったが、いい意味で期待を大きく裏切られた。
ストーリーは役所広司演じるガミを主人公として展開していくと思いきや、新人の松坂桃李演じるの日岡主観をもとに、気持ちや感情の変化を描きストーリーを展開していく。起承転結で日岡が実は監査官であることや、ガミさんはヤクザと癒着していたのではなくカタギをヤクザから守り続けていたことが分かることで、全く飽きがこない素晴らしい構成になっていた。映画内の描写もとてもリアルで目を背けたくなるほど暴力的なシーンもしっかりとある為、ヤクザ映画好きな人も必ず満足できる作品であるといえる。1番の違いはガミさんの捜査には遊び心や余裕、そして断固たる正義感があったところだと思う。本来ならガミさんのやり方に全員が疑問を持つところを、彼の人間性と正義感が見ていて心地よかった。
ヤクザの構想が題材な為、さまざまな組の名前や人名が出てくる為、一回で理解するのは難しかった。
この映画のテーマは映画途中でも出てきたワード"ミイラ取りがミイラになる"ではないかと考えた。途中まで正義感からガミさんの捜査の仕方に疑問を持っていた日岡だが、色々な現実を目の当たりにするにつれ彼の中の正義が変わっていたように見えた。側から見ればミイラ取りがミイラになったのかもしれないが、松坂桃李は警察官として歩む道を定めたにすぎない。ガミさんが殉職したあと、豚小屋に1人で乗り込んでジッポを見つけるシーン、自分の捜査記録にガミさんの直しが入っていて「よくやった」と褒める言葉が書かれていることを発見するシーン。思わず涙がこぼれた。この映画を見た全員がガミさんの器の大きさ、懐の広さ、人間としての荒さに魅了されるに違いないだろう。

展開 関心度 speed 0.9
おもしろさ fun 0.8
設定 構成 story 0.8
映像音楽 art 0.8
好みlike 0.9
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