タナカリオ

人生はシネマティック!のタナカリオのレビュー・感想・評価

人生はシネマティック!(2016年製作の映画)
3.6
日常的な軽快な音楽に合わず、戦争によって破壊された街並みが映し出される。この不自然さが、この作品では戦争が日常になっていることを知らせる。

舞台は第二次世界大戦下のイギリス。
カトリンは脚本家としてダンケルクで起きた史実を映画化するため、様々なトラブルを機転で回避しながら脚本を作り上げていく。

というエンタメ映画として派手に演出したら面白そうな題材にも関わらず、比較的メリハリなく淡々と進んでいく。

流れの中に突然戦争がやってきて、突然最大級のトラブルがやってくる。
しかし人生というのはそういうもので、私たちは突然「死」や思いがけないものと予兆なく出会うのだ。
まるでそのことを体現しているようだった。

クラシカルなロンドンの街並みや濃淡の感じる影や煙の使い方も合わさって、物語全体が綺麗にまとまっている印象だった。

そしてタイトルそのままに、
随所に「映画とは」という哲学が散りばめられている。
特に中盤のバックリーの映画に対しての言葉はラストシーンとかち合い、私たちに「映画っていいな」と思わせてくれるのであった。
タナカリオ

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