めしいらず

誰がための日々のめしいらずのレビュー・感想・評価

誰がための日々(2016年製作の映画)
3.4
母親の介護疲れ。父親は帰って来ない。外国住まいの弟は知らん顔。恋人との別離。主人公は次第に鬱を病んでいく。母は仕事を辞めて介護する彼を悪し様に罵り、何もしてくれない弟ばかり恋しがる。その矢先に彼は母を事故死させてしまい精神病院に収容される。一年後に退院して父と暮らし始めた彼の社会復帰は侭ならない。貧しい暮らし。父の負傷。恋人との不幸な形の再会。親友の自殺。主人公は再び病んでいく。周りの人々は彼の居場所を狭めてくる。父は今度は逃げずに息子に寄り添い、新天地での再出発を期す。何も特別でない、きっとどこにでもあるだろうこの不幸な人生の形。でも誰にとっても己が不運は甚大であり、その重なりはそれぞれの人生を着実に蝕んでいく。何のために生きているのか。どう生きれば良かったのか。その答えは誰にも分からない。時に死がちらつきながら、それでもどうにか生きる道を模索し続ける。リアルさに息苦しくなるような暗澹たる物語だった。
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