いくまる

ジャコメッティ 最後の肖像のいくまるのレビュー・感想・評価

3.7
芸術家=変な人、とは限らないけど、ジャコメッティはいい感じに変な人で良かった。
作品を沢山は知らなくても、細ーいブロンズ像は見たことがある人が多いんじゃないかな?
「目に見えるものの本質を捉えようとして余計なものを削ぎ落とした」結果のアレっていうのが、哲学者と仲良くしていた辺りからも伺えてちょっと興味が湧いたな。
ほぼ終の住処のアトリエのみで進む今作、作りかけの歩く男とかがあって面白かった。
それしか知らないんだけども。


特別事件が起こるでもなく、ただ苦悩する芸術家と振り回される作家・評論家。
場所も大して移らず2人の会話もあるような無いような。
進まない絵と延びる帰国予定日。
永遠に続くかと思われた18日間。
(それも終わらせる作戦の末の完成)
どアップになっても綺麗なアーミー・ハマー。
スーツもシャツもネクタイ緩めて締め直すところもアップで見られる。眼福〜。

何が面白いかというと説明はできないんだけど、このヤキモキする感じと完成品を見たい気持ちをアミハマさんが上手く表現してくれるので、最後のホッとした表情で一緒にホッとできる。


アミハマさん目当てだったのでそれで良いの。
そりゃ目の前に彼がいたら「肖像画を描かせてくれ!」ってなるわ。
見た通りに描けないって苦悩するし、それが幸せでもあるし、何日でも目の前に置いておきたいわ。
(ジェイムズ・ロードさんです)

「正面から見ると凶悪犯、横顔は変質者」って言われていて、アミハマさん本人の事ではないとはいえ的確だなって。
ピカソとジャコメッティと交流があって、後に伝記を書く人だなんて、そっちの方が興味ある。笑



ジェフェリー・ラッシュは我らがバルボッサの印象が強くてたまに片鱗が見えると嬉しくなっちゃうんだけど、ジャコメッティの肖像画そっくりでびっくりした。

監督も。スタンリー・トゥッチなのね。
本人の事はよく知らないけれど、プラダを着た悪魔、バーレスク、モネ・ゲームの役の印象で繊細で神経質な芸術家肌の人のイメージがついているので、時間が経って緑がかったブロンズ像の色みたいな全編が、なんだかそのままだなぁという印象の画でした。
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