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5パーセントの奇跡 嘘から始まる素敵な人生のCHEBUNBUNのレビュー・感想・評価

5.0
【タイトルに侮るなかれ!2018上半期ベスト案件】
インスタグラム系映画ライターのミヤザキタケルが大絶賛していたので、『バーフバリ 王の凱旋』前の時間潰しに観てみた。

邦題は『5パーセントの奇跡 嘘から始まる素敵な人生』とこれまたダサく、副題に関してはマジでウソを言っている(素敵な人生ではない、過酷すぎる人生だw)為、映画ファン程食指が動きにくい作品。まあ原題が”Mein Blind Date mit dem Leben(我が人生と共にあるブラインドデート)”。と直訳でなんとかなるもんじゃないので、非常に難しいものだ。

ただ、数週間前『8年越しの花嫁 奇跡の実話』がまさかの場外ホームラン映画だったの同様、こちらも軽く場外ホームラン行きの傑作でした。どれぐらい傑作かというと、ぴあの出口調査に珍しい応じるくらいだ(ぴあの出口調査は質問の仕方が嫌いなので基本全力でスルーしている)。

まず、何と言っても、『BASED ON A TRUE STORY』という看板に決して胡座をかかない極めて映画的作品だということ。その一番の見どころは、盲目表現にある。

昨年、ロウ・イエの『ブラインド・マッサージ』と河瀬直美の『光』が公開された。どちらも、ぼかしでもって盲目を表現していた。本作も当然ながらぼかしで、観客に盲目の世界を魅せる。しかし、本作は、去年公開の2作品に比べると圧倒的に、ぼかしを物語る要素として取り込むのが上手い。

例えば、主人公サリヤが視力を失うシーン。視力を失っても通常の学校に通い続ける。そして、聴覚が覚醒し、聴覚の力だけで学校を卒業する。

観客は、「なるほど、5つ星ホテルの研修も聴覚だけで乗り切るのか!チアルート・イムウェやん!」と思う。

しかし、5つ星ホテルの採用面接で施設を回るシーンがあるのだが、そこで「聴覚も使えないじゃん!」という絶望を観客に与えるのだ。

極め付けは、面接終盤で従業員が鬼スタッフに「お前なんかユースホステルに行っちまえ」と罵声を浴びせられているのをサリヤは見てしまうのだ!

そう、この前半30分で、観客は如何に盲目が障がいを誤魔化し、5つ星ホテルの研修を乗り切るのが限りなく不可能であるのかを思い知るだ。

そして、いざ何ヶ月にも及ぶ研修がスタートする。これがまた5分に一度、死亡フラグレベルの修羅場を迎える。それも手を変え品を変え、とにかく手数が多い。中には、女の子とのデートや夜の悦楽ミッションなんかもあります。まさに、1作目の『キングスマン』の採用試験張りの手汗握るアクションに惚れ込みました。

そして最後の最後まで失速することなくグランドフィナーレ!一本満足どころではない。100本満足な作品でした。

本作を見逃すと、後に後悔すること間違いなしなので、是非劇場でウォッチしてみて下さい。
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