よるこ

5パーセントの奇跡 嘘から始まる素敵な人生のよるこのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

スリランカ系ドイツ人のサリー・カハヴァッテはホテルマンに憧れる高校生。田舎のギムナジウム卒業間近だったある日先天性の病気により網膜剥離などで急速に視力を失う。手術でなんとか残った5%の視力、他の感覚を研ぎ澄ませ、なんとかいい成績で卒業するが、どのホテルの研修も視覚障害のために断られる。障害者は一度雇うとなかなか解雇出来ないからだ。
コールセンターかマッサージ師しか無理だ、夢をみるなと言われるが、サリーはミュンヘンの5星ホテルでの研修に障害を隠して挑む事にする。
面接で出会った意欲のないマックスとフォローし合い、努力を重ねてなんとか各研修場所をクリアしていく。
同じスリランカ系の移民で元外科医の皿洗いのおじさんや料理長に目のことがバレるも、彼の誠実で努力家なところに協力してくれる。
野菜の配達のラウラの声に運命を感じ、最初は彼氏がいたりして落ち込むものの、やがて子持ちの彼女と障害を隠して付き合うことに。

だが、最後のテーブルセッティングなどのレストランの研修で教官に目をつけられ、失敗ばかりでクビ寸前に。
同時期に父が全財産を持って失踪。しかも不倫で相手女性を騙してスリランカに帰って結婚してしまった。
急遽働き口を探す母に隠して、サリーはパン屋の厨房のアルバイトも掛け持ち。ラウラや子供とあったり、マックスとホテルの研修の予習・復習など精神的にも追い詰められ、薬に頼るようになり、集中力を無くし結婚式を台無しにしたことで絶望する。同時にラウラにも子供を預かってる最中に見失ったことで信用をなくす。

荒れて諦めたサリーをマックスが連れ出してくれたことでもう一度挑戦することを決意し、ホテルのみんなに謝罪と試験を受けさせてくださいと頼みにいくことに。

テーブルセッティング以外は優秀だった為、合格をもらえたサリー。
終了後、認めてくれ誘ってくれた支配人の申し出を断り、マックスとレストランを開業。ラウラも来てくれて仲直りのハッピーエンド。

マックスがただいいやつってだけじゃなく、女好きでやる気はないんだけど根気よく付き合ってくれたり、フォローしてくれたり、変に感動的なことを言わないさりげなさが良いなぁ。
妹もよく支えてくれて良い関係だし、みんな大人で変な人がいない。
丁寧に作られたお話だった。
ホテルのバーやテーブルセッティング、料理などの映像も綺麗だし、ドイツの山も美しい。
最後ホテルじゃなくてレストランで良いんだ?っていうか、お金はどうした?とか若干最後ぼかされてる気がしないでもないけど、実在の人物のお話だったみたい。少しクスッとくる部分もあるし、ちょっとお洒落な感じもあって、絶妙な感覚の作品で結構好きかも。

きっとハリウッドで作ったら、人物の味付けを濃くして、嫌なやつとかもっとドラマチックにしたんだろうけど、このくらいの方が好み。
よるこ

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