すずき

ソウルメイト/七月と安生のすずきのネタバレレビュー・内容・結末

ソウルメイト/七月と安生(2016年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

安生は家明を愛してたわけじゃないと思う。
大好きな七月が好きな人だから、七月のために特別な人の1人として大切に思ってただけ。
安生は最初から七月以外の人を愛してなかった。
毎回ちゃんとハガキに「家明によろしく」って書いてた気持ちがよくわかる気がする。七月が大好きだから、七月のことを想って、あなたと家明は今もこれからもひとつって気持ちを表してたように思う。

家明が安生に惹かれ始めたせいで、普段から優等生であろうとする七月の安生への嫉妬が燃え上がると同時に、安生なしではつまらない自分自身に気づいてしまって、とにかく家明と結婚することで親に満足してもらうこと社会的に認められることを執拗に望むようになる。必死。
このへんの苦しさも見てて辛い。
そういう女性は、自分の周りに居ないわけでもないから。

安生は誰にも頼れないから、とにかく生きるためには自分を強くして、利用できるもの利用したり、なけなしの愛を信じてみたりするけど、うまくいかない。
お家があって、家族がいて、大学へ行けて就職もできて…って七月のこと本当は羨ましいと思ってる。「あなたは運が悪いだけ」って、それ言われるの辛いと思った。というか当人にそんなこと言うの酷いと思う、七月の親よ。。

離れて生きている間に、それぞれ心が折れてしまってるのがすごくリアルで辛い。
安生は"自由に"生きていられなくなって、七月は死に物狂いでしがみついてたレールから踏み外す。
二人の人生が入れ替わったり、本当に二人の中の相手の存在が大きくて想いが強くてたまらなくなった。

1人の男を愛した2人、という小説にしたのは、七月の体面のためだと思う。
世界中を旅行して自由に生きてるってことにしてるのも、七月のため。

七月めっちゃ酷くて、安生が本当にかわいそうなんだけど、七月の必死さもわからなくもなくて、「女はどんな人生でも辛い」をひしひしと感じた。
すずき

すずき