このレビューはネタバレを含みます
主演二人も良いし、映像も音楽もいいし、後半の「しかけ」のようなものにはおおっとなったし、安生の行為にはぐっとくる。
前半特にだけど、映像がきれいだなあと思った(図書館や揺れるカーテンなどに岩井俊二の影響ってやはり大きいんだなあと思っていたら、エンドロールに岩井俊二の名があった!)
しかし、プロットに支配されすぎなのがもったいない。駆け足で二人の数年間を駆け抜けるんだけど、出会ったり別れたり、バタバタして余裕がない。映画に余白がない。このような話は3、4時間ぐらいかけて、丁寧に描いたら良い映画になるのにと思う。
七月は外に出たかった、それで結婚をやめたと終盤描かれるが、それならなぜ最初に家明について外にでなかったの?(途中でその気持ちになったなら、もっと丁寧に描いてほしい)。七月、なぜ突然死ぬ? それらは、決まったプロットがあるためにディテールを疎かにしたように見えるし、突然の死はやはり古臭く感じてしまう。
人間は論理的じゃなく、軽はずみによくわからないことをするし、突然悲劇があるのだ、ということなら、そのことが伝わるようにする何かが必要だ。
映画のトーンが好きなだけに、勿体ないと思ってしまった。でも『少年の君』楽しみです。