このレビューはネタバレを含みます
冒頭のX-20でのテスト飛行、激しく揺れる計器、限られた視界から伝わる緊張感、そして無重量空間に達した時、パイロットだけしか見られない美しい景色、しかしアクシデント発生、このまま帰還できない、その焦燥感、緊張感が伝わる。
この映画に言えることは、アームストロングの乗るロケットが正に「鉄の塊」それが激しく振動する、宇宙に行くのは決して静かにリフトアップする事はなく、そこに乗り込む宇宙飛行士の緊張感を増幅させる、そんな危険な乗り物だと言う事を再認識させられ、それはIMAXシアターでしか体験出来ない感覚。
何か、月面着陸でアメリカ国旗を立てるシーンがない事で物議をかましたらしく。
それこそ「アメリカ万歳!」的な、仮にそのシーンがあったらアームストロングの映画ではなく、アメリカの国家的プロジェクトと解釈は拡大し、また、それ故に人類の偉業では無いアメリカだけの閉塞しかねない映画になっていたかと知れない。
そこに製作者のこの映画に対する意図が伝わって来て作品が大きく評価されるべき一因になっていると感じる。
アームストロングも優れた才能の持ち主、だが、やはり独りの人間、悩み苦しみ、完璧無比な人物像では決してない、それをこの映画は伝えたかったのかもしれない。だから人間ドラマに比較的多めに割いている所から感じ受ける。
総じて、アポロ計画の映画は「ライトスタッフ」「アポロ13」と様々あるが、これはこれで別のアプローチから捉え、観客に新たな視点でこの偉業を見せてくれた良質な映画だった。