ヒロインの女性が『猟奇的な彼女』っぽい顔立ちと明るい雰囲気を漂わせていたため、途中までコミカルな話かと思っていたら、想像よりはるかに重くつらい内容の話だった。
とにかく終盤は涙涙。保険会社に勤める男・ガンスと妻との間にどんな時間が流れていたのかも次第にわかってくるあたり、そしてガンスにしか見えない植物状態中のミソとその母親との話は涙なしでは見られない。
ガンスとミソ、二人がよく気持ちを打ち明ける病院の屋上シーンがまたいい。フェンスをまたいであの世とこの世の境目に不安定に立っているミソが危うくて、見ているこちらも気持ちがざわざわさせられる。
ガンスを演じたキム・ナムギルがよかった。『後悔なんてしない』の同性愛者役や、『殺人者の記憶法』のイカれた殺人犯役など、とても印象に残る演技をしてきた彼の他の作品もぜひ観たいと思った。