しゅん

冬の旅のしゅんのレビュー・感想・評価

冬の旅(1985年製作の映画)
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サンドリーヌ・ボネール演じる汚ない浮浪美少女モナは僕にはまるでヴァン・ゴッホのように見える。冒頭から糸杉が登場したりゴッホの絵葉書が映っているせいもあるだろうが、なにより彼女の無邪気でエゴイスティックな滅亡がオランダの画家を思わせる。当然モーリス・ピアラの傑作も思い出す。バッカスの祭りから柵に引っかかって倒れる彼女の涙に涙する。
ヴァルダは極めて具体的にメタファーぬきで貧困を描き出そうとしたらしいが、彼女の姿には神話的なイメージを浮かべずにはいられない。その矛盾が不思議だと思った。

途中でドアーズ流れてたけど、モナはジム・モリソンっぽくもあるよな。冒頭の壁を掃除するゴシゴシ音の断続的な反復がやけに印象に残る。

ちょっと『ケーブル・ホーグのバラード』っぽいなとも感じた。
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