おりょうSNK

華麗な関係のおりょうSNKのレビュー・感想・評価

華麗な関係(1976年製作の映画)
2.5
「華麗な関係」
原題:Une femme fidèle(誠実な妻)
英題:Game of Seduction(誘惑のゲーム)
1976年フランス
ロジェ・ヴァディム監督作
 
ナタリー・ドロンさん追悼鑑賞、2本目はこれにしました。そういえばロジェ・バディム監督作は初鑑賞かも。昨年来、手を出してなかった領域に踏み込んでるからとても楽しい鑑賞人生です。
 
って見始めたのですが、早晩、ナタリー・ドロンの出番が少ないことが判明します・・・クレジットはシルビア・クリステルと並んでるのに!「エマニエル夫人」と「個人教授」では分が悪かったか・・・個人的には後者が優勝です。
 
19世紀初頭のフランス。社交界でドン・ファンの異名をとるシャルル伯爵が、ある人妻マチルドに心を奪われます。この相手がシルビア・クリステル。ナタリー・ドロンは昔なじみのフローラを演じてますが、距離を詰めていく二人を妬んで罠を仕掛けるというのが大筋。
ナタリーは最初から最後まで底意地の悪そうな表情でこの役を演じきってますが、この間観た「サムライ」のナタリーは本作同様に出番が少ない中でも魅力的な役柄だったのに、ずっと不機嫌で目はつり上がりっぱなし、まあそう演じてるのだと思いますが、かわいらしさの一端でもお目にかかれればツンデレ好きな僕としては溜飲が下がるとこなのですが。
 
それにしても、ここで描かれている社交界というものは、欲にまみれ、策略に溺れ、仮想パーティでは裸女をターゲットにした輪投げに興じ、歪んだ愛の攻防をひたすら繰り返すばかり。お金が掃いて捨てるほどあり労働の必要がないと人間ってこうなることもあるのかと考えさせられます。でも働かずに済むならそれがいいのだけどと思ったり。
 
屋敷の外で現代で言うところのパリピな催しをやってると「外で踊るな!」と言う警察が、まるでコロナ禍で自粛同調を迫る民間警察のように見えるという面白さがあったり、青み掛かった暗い部屋で椅子に浅く腰掛けてると窓の外に大雨が降りだすシーンが「フラッシュダンス」の水ぶっかけシーンにそっくりだったり、それぞれの屋敷か邸宅か城の美しい調度品を眺めたり、退屈はしませんでした。
 
最後に、印象的なセリフを。
 
この世は低俗極まりない不毛な駆け引きばかり
僕が好きなのは、曖昧なもの
掟などなく
超然としていて
神聖で、不可解なもの
たとえば、魂、音楽、愛
 
「個人教授」のU-NEXTラインナップが待たれます。
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