あをによし

ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめのあをによしのレビュー・感想・評価

3.8
この作品の中に「一生を共にしたいと思う相手かどうかは浮気した時に分かる」というような意味合いのセリフがあるのだけれど、(その是非は置いといて)間違った選択をして初めて気付くことは多い。というか、大体そうだ。取り返しのつかないこともあるけれど、そうでないこともある。と言うか、そうでなかったことの積み重ねで人生は成り立っている。逆境は真理に至る最初の一歩である(by バイロン)ですね。
この映画の主人公クメイルはパキスタン系のコメディアンで、彼の恋人は大学院に通うエミリー。白人だ。パキスタンではお見合い婚が主流で、ましてや白人のアメリカ人と結婚なんてしたら勘当されてしまう(らしい)。その為、彼女の存在を家族に打ち明けられず、またエミリーにもそのことを話せないまま、母親の紹介する見合い相手と会っては縁談を断るということを繰り返すが、遂にはエミリーにお見合いのことがバレて破局。しかし突然、エミリーが原因不明の病で昏睡状態となり、その看病を続ける中で、彼女の両親とも関わりができ、また自分の家族との関係も大きく変わっていく。そして彼自身の心も…。
移民としてアメリカに来て自分たちのアイデンティティを守りたい、そして守ってほしい親と、アメリカ育ちで民族の伝統や文化に馴染めない子供の葛藤や、その違いに翻弄されながらも惹かれ合う2人の物語を、軽快な台詞回しと巧妙な脚本でコメディタッチに描いた感動作。しかし、ここ最近の、実話を映画化した作品のレベルの高さたるや、事実は小説よりも奇なり(by バイロン)ですね。もちろんX-ファイルよりも。
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