ちゃんしん

アメリカで最も嫌われた女性のちゃんしんのレビュー・感想・評価

3.1
一般社会で常識となっていることに異を唱えたとしたら、だいたいの場合、反発を招くことになる。
今までに慣れたことに疑問を持つことは、大概、受け入れられないのが人の習性だろうから…。
ただ、やっぱりおかしなことに異を唱えることは大事なことだし、それを受け入れる柔軟性も必要なことだろう。
歴史を見てもそのことの重要性は明らかだ。
例えば奴隷制や人種差別に関する問題。
君主制や家長制度、女性の参政権や社会進出、社会システムや会社組織…。
大変革を求められる進化には、必ずその変化を受け入れることを許さない一定数の意見は存在する。
課題解決の初期はその声は大きく徐々にあるべき理想へと物事は進化していく。
一般常識と考えられるものが変わるには、それだけ大きな全体的意識改革が必要だということだ。
宗教にその価値を見出すのも見出さないのも人の自由。
そこに自身の生き方や哲学を求めることは有意なことも多いのかもしれない。
ただ、この主人公のようにそこに金のなる木を見つけ、そのものを商業化し、偽善を伴い、裏金作りに邁進する姿は、今ある数多の宗教団体の真実の姿のように思える。
無駄に華美な施設や、半強制的な御布施、運営する関連法人や運用する資産。
もはや営利を主目的としている宗教団体の方が多いのではないだろうか?
イエス・キリストは今のキリスト教に何を思い、アラーは今のイスラム教の姿をどのように感じ、ブッダは今の仏教の在り方をどう感じているのだろう…。
もはやその根源にあるはずの教えや理想よりも、組織や運営に主たる目的を見出してしまっているところもあるはず。
ましてや歴史の無い新興宗教なんて?
主たる目的を忘れて金儲けに走ってしまった主人公は、やはり、「アメリカで最も嫌われた女性」だと言えるだろう。
だいたい思想やものの考え方にお金なんてそんなに掛からないだろ?
よくよくその宗教を客観的に見てみればそこにある本質は透けて見えてくる...。
やたらと豪華な建物、買い漁られた美術品、多くの会社運営、封建的な組織運営...などなど。
そんなもの、本来の教えに本当に必要なの?
そこにあったのは偽善の塊...、そりゃあ、嫌われるわなぁ~。
ちゃんしん

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