牛丼狂

勝手にふるえてろの牛丼狂のレビュー・感想・評価

勝手にふるえてろ(2017年製作の映画)
1.5
主体性がないくせに自分という幻想に向き合うことを他者に所望する現代日本のモラトリアム層向けの作品である。
見てくれている人物はたくさんいるのに、それに感謝を示すどころか裏切りまくるような主人公に共感したくない。たとえば同僚の留守番電話を聞いたあとには男に電話をかけるのではなくその同僚にかけなおすべきだと思う。
恋愛脳になってる主人公とそれに感情移入する観客からすると違和感なく見られたシーンだろうが、私はそんなときこそ側にいてくれる同性の友人を大切にすべきだと考えているので気になった。
みずから最低の言葉を告げた彼に着信拒否されて「ファック」と叫ぶのには自分勝手なさまが端的に描かれている。気持ちがわからないわけではないが、あまりにも品性のない子どもである。
しかし自分とやらを特別視して勝手に孤独だとかいってるさまは、少なからず共感できてしまうのが恥ずかしい。多くの若者は少なからず共感できるだろう。だがそれはけっして肯定してはならない。不満があるのならばみずからの思考や言動により解決していくしかないのである。
松岡茉優にはけっきょく外部に寄り添ってくれる人がいた。それゆえ彼女自身の変化や成長は見られずに、過去への決別みたいなものも見えずに、物語は終わってしまったように思えた。
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