スチールラグ

コロンバスのスチールラグのレビュー・感想・評価

コロンバス(2017年製作の映画)
4.5
最初のシーン、雨が降っていた。
緑灰色の風景に柔らかく降る雨。
不思議なことに、その雨がずっと降り続いているような気がした。
本当はちっとも降っていなかったのに。

二組の親子が出てくる。
年老いた父を疎んじるジン。
母に束縛されるケイシー。

他人であった二人がことばを交わす。
煙草を貸し借りする。
コロンバスの建築を一緒に見て廻る。
静かで穏やかだけど、それぞれに別々の葛藤がある。

一番好きなシーンは、緑の庭園だった。
濃淡さまざまな緑の木々が風に揺れている。
緑を背景に父の後ろ姿。そして、息子の後ろ姿。

個人的に、どちらの親子関係に感情移入するかというとジンの方だろう。
僕だってどうしていいか分からない。

先に、一歩踏み出したのはケイシーの方だった。
平気な振りしてずっと我慢していた。
"who are you?"
対話の中から少しずつ本来の自分を取り戻す。

フロントライトの光の中で踊るケイシー。
やっと涙を流すことが出来たケイシー。
別れのシーンもやはり緑の中。
大丈夫、ジンもきっといつか踏み出す。

もう一つ、
映画を見始めた瞬間から、
不思議な多幸感に包まれていた。
どちらかというと哀しい物語であるにも関わらず。
それは、簡潔なエンドロールが終わってからもずっと続いていた。

魔法のような不思議な作品。


追記
今日、やっと「パターソンのマーヴィンTシャツ」が届きました😄 犬派でも猫派でもないけど可愛い😆
新しいTシャツのまだチクチクする感じが古い夏の記憶を思い出させます😊
夏への扉を開けた気分でした😌
スチールラグ

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