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ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書のrejocquのネタバレレビュー・内容・結末

4.3

このレビューはネタバレを含みます

チャーチルで予習するべきだったと学んだので、ペンタゴンに挑むべく、割としっかり予習していった。していってよかったです。

45年の終戦以降、最もバカな争いとも言える冷戦下に実戦被害があった忌むべきベトナム戦争。
ベトナムは終戦後性懲りもなく奪還戦争を仕掛けてきたフランスからやっとのことで独立し、次は自国内の南北戦だったはずが、民主主義と共産主義の争いだった為から、いつしか米ソの戦争に取って代わったクソ戦争。米ソは人様の内乱を口実に、人様の土地で世界大戦ばりの武力を用いてケンカを始めたのである。本当にとんだ迷惑。
米ソには確実に自分たちの本土を汚さず、戦争に勝つという実績を作れるかもしれないという非常に都合のいい戦争だった。しかもソ連はこの最中、おそらく武力強化のため、またチェコスロバキアを襲っていた。

61年に始まったこのゴタゴタは64年のトンキン湾事件をきっかけに、米政府は直接的な武力介入に出る。約10年続いたベトナム戦争は、1973年アメリカの敗走後、1975年で終結する。
映画は、66年から始まるが、こっそり軍拡してたトルーマンやアイゼンハワー、ベトナムにちょっかい出し始めたJFKが暗殺され、そのまま継承したリンドンが軍事介入をおっ始め、正直すでに泥沼状態だったとこから始まる。
それまでの主張をひっくりかえし、米政府はとんでもない数の若い兵士たちを送り込んだが、過酷なジャングルでその兵力は十分な効力を発揮せず、7割がその熱帯気候とジャングルに苦しんで兵力にならなかったらしい。
ペンタゴンペーパーズが露呈したのは71年。ニクソンは第二次世界大戦とベトナム戦争と人種差別問題(キング牧師の時代)対策などで大赤字だった国営に転機を与える大胆な経済施策を行いそれなりに頑張ってたのに、ベトナム戦争に軍事介入する決め手となったトンキン湾事件の二回目の攻撃がウソだったとかそういういろいろヤバイ真実が書かれた報告書が漏れたのである。勇気ある行動を起こした情報源と、NYタイムズ、ワシントンポストが報道の自由を勝ち取ったが、ひいてみれば国会に対する最高裁の立場の示しだったとも言えなくもない 。
ちなみに冷戦を終わらせるとも言える和平条約を結び、ベトナム戦争の泥沼から兵隊を撤退させる決断をしたのはニクソンだ。戦争時代の闇と泥の尻拭いをしきれず叩かれて退任に追い込まれた唯一の悪人ヅラの大統領。悪いのは彼だけではない。こうも歴史的にすっぱ抜かれるとちょっと不憫だ。

映画の最後、この最高裁判決後すぐに始まったウォーターゲート事件につながるシーンで終わる。ト〜〜リ〜〜ハ〜〜ダ〜〜!!

スピルバーグ手練の演出力で的確に美しくテンポよくエンタメチックに描かれながらも、メッセージ性は強く、ユニークで楽しかった。
終戦後の政府対新聞社という史実をスピルバーグが描くとこうも素晴らしいあるべき映画の姿になるのかと、改めて彼のセンスに土下座せざるを得ない。

ワシントンポストの現在は残念ながらアマゾン創業者に買い取られながらも、トランプをチクチク刺していたところ、トランプはニクソンのようにヒステリーを起こしていることから、スピルバーグはこの映画の製作に踏み切ったそうだ。レディプレイヤーワンの製作中での決断だったらしい。

パンフレットも新聞記事風の写真や文字組みが美しい構成です。
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