ケンシューイ

ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書のケンシューイのレビュー・感想・評価

3.5
トランプ政権はNO!だということのメッセージも含まれているのですね。

ニクソン政権下におけるベトナム戦争について、NYタイムズとワシントン・ポストの両新聞社がその裏側に隠されていた政府の汚点を暴露していくというお話し。

原題は『The Post』でズバリ新聞社の名前。邦題は国防総省が作成した最高機密文書の通称。ちょっとズレてます。
ベトナム戦争は政府の失態だということをテーマに語るのならペンタゴン・ペーパーズで納得できるけど、この映画は"報道の自由"がメイン・テーマに据えられているのでやっぱり違うかな。

それと、フェミニズムが大きく掲げられてた。メリル・ストリープ演じる女社主が大きな決断を下すという点はもちろんのこと、その娘とのやり取りや編集長の妻など女性の視点が特徴的。最高裁判所から出てきた彼女の姿を見つめる御婦人たちの眼差し、さらにはその判決を聞かせられるのは電話をとった女性記者の口からなど印象に残った。

現場のリーダー、編集主幹がトム・ハンクス。これまた良い。二大スターの共演で、その演技力にぐいぐいと引き込まれていく。迫真のセリフ劇が大きな見どころ。
社会派サスペンスの重厚さだけではなくて、レモネードを売る可愛らしいお嬢ちゃんを差し込んだりして肩の力が抜けるところもある。
ポケットに詰めたコインで公衆電話、飛行機に乗るときには2人分の席をとって隣には大事な荷物、そんな当時の新聞記者たちが奮闘する姿も忠実な描写というところでしょうか。
派手なアクションシーンは無くても、輪転機が回され新聞が刷られていく様は、まるで戦車が隊列を組んで進んでいくかのような迫力。

ちゃんとエンターテインメントになってて、さすがはスピルバーグという一作でした。