マクガフィン

ラプラスの魔女のマクガフィンのレビュー・感想・評価

ラプラスの魔女(2018年製作の映画)
2.9
連続して起きた奇妙な死亡事件をきっかけに、様々な視点により事件の真相をあぶり出す。原作未読。

原子と運動量による予測の道具立ては些か荒唐無稽だが、青江教授(櫻井翔)視点で、謎の可愛い少女・羽原円華(広瀬すず)と、刑事・中岡(玉木宏)の各々が知った情報をリンクさせて、真相に近づて行く模様が、原子の法則のメタ的でもあるようで、如何にもミステリー的なトリックでないことは相性が良く、興味深い。

しかし、人間の脳の情報処理能力を飛躍的に向上する手術という、一般人が想像できる範疇の化学的設定に興醒めする。A.Iがどんなに情報処理能力を向上させても、ある命題に対して、あらゆる無数の条件を考慮することが無限に近くあり、解決できない問題は山ほどあるので、疑問に感じて説得力に欠ける。更に、その行き着く先の「計算によって未来を予見できる知性」は到底及ばないだろう。もっと「相対性理論」的なぶっ飛んだ理論を持ってきた方が良かったのでは(原作は一昔前と思いきや、2015年で驚く)。中終盤以降は冗長も多く、父性欠落症の問題も中途半端で残念に。

個の突出した能力を取り上げることで、その超能力の使い方の重要性や警鐘を鳴らす。大事なことはそれに依存しなく、個と個が繋がる集合体の社会であり、例え小さくても、その中で努力すれば、大きな個に負けないよというメッセージは、これまでの原作者の思想からか政治的に感じて、超能力が原発のメタ的に感じたことは拡大解釈だろうか。

味気ないキャラで心象が弱く、人の生死がかかっているのにサスペンス的な緊張感がなくて、あっさりし過ぎていることは、この作品に対する監督の熱意のようにも。
特異なエピソードを積み重ねて風呂敷を広げた故の、超能力に集約することは流石に面白みに欠けて、説明セリフばかりでなく何かを紡ぎ出す技や熱が欲しかった。