デヒ

アネットのデヒのネタバレレビュー・内容・結末

アネット(2021年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

人間だけど、人形の姿をしているアネット=ヘンリがアネットを見世物として全国巡回公園をしたり勝手に振り回すことを人形として視覚的に表現して見せたと思う。生まれた時から人形の姿でどんどん成長していていろんな事件に振り回されて父親であるヘンリに反感を持つことになったら動きが大きくなり、やっと刑務所で人間の姿で変わることになる。アネットとヘンリの葛藤の歌が終わり、最後までもヘンリ(アンネ)を許さずに去ってしまうアネット。刑務所の中には人形(殻)のアネットが捨てられている。
=>アネットとヘンリの葛藤の歌はヘンリとアンネの 「We love each other so much」とリズムとメロディーが一緒だ。つまり、アネットisアンネということだ。
レオス・カラックスの娘へ送るLOVE LETTERだと思う。自分がアンネ(妻)を愛するぐらいアネット(娘)を愛している意味ではないのか。

映画のオプニングとクロージングが記憶に残る。一般的なミュージカルのように観客に声をかけるような曲が流れてくる。「みんな静かに、幕が始まるよ」
クロージングには「GOODNIGHT、EVERYONE」と。

ヘンリはスタンドアップ・コメディアン。笑わせる職業だが、笑いの中で不幸を伝えるのが目的であるらし。アンネはオペラ歌手。世界の有名なオペラを歌うが、ほとんど悲劇だった。彼女は何度も死ぬ。しかし、愛する人によって満たされ、慰められる。しかし、彼女は有名になってることに反面、ヘンリは奈落に墜落する。酒に酔っ払ったヘンリは激しい嵐が吹き荒れる日、激しい波を横切っていくヨットの上でアンと踊っていたが、アンの手を逃し、殺してしまう。
→ 手を離してしまう場面は2回ある。「WE LOVE EACH OTHER SO MUCH」という曲を歌う時に一回、ヨットの上で一回。この死を例示する複線かもしれない。

「アネット」=娘の名前。ヘンリとアンネを、二人を遠ざけた原因でありヘンリにとってはアンネの代替者、この世を去ったアンにとってもこの世の人生の代理者。

ミュージカルの特性上、ロングテイクが多数ある。カメラの構図と回しが面白かった。 Canted angle(カメラの位置が水平に傾いた斜めの角度をいう。 アングルが斜めに傾いていると活力があり興奮感を与えるが、同時に不安な印象を与える。)もあり、神の視線を表すアングルもある。ヘンリとアンネの愛を描く時には平行線にあったが、第3者の目線もある。

映画を観る前に、filmarksで感想を読んでから見たが、誰かの「あえてミュージカルを作る必要があったか」という言葉を観た。私はこの言葉に反対の考えを持っている。
①ミュージカルだからこそメッセージ伝えやすい
② 監督の世界観を反映した独創的ながらも芸術的であり、人によっては難解だと思われるだろう。歌があるからこそ純化され感情をのせやすくて観やすくなると思う。そして、音楽だからこそ言える言葉もある。

アダム·ドライバーとマリオン·コティアル演技がすごい… 『HOUSE OF GUCCI』から魅力的だと感じたが本当に素晴らしいの俳優だと思う。すごい。

さっきも言ったようにレオス・カラックス監督の世界観が多数反映されたし、一般的なミュージカル映画と違うと思う。独創的のように芸術的で、美しいが難解である。『LA LA LAND』や『DEAR EVAN HANSEN』みたいなミュージカル映画を考えて観にきたなら、ショックかもしれない(笑)。
予想と違うストーリーと雰囲気で違和感を感じて悪評価する人がいるが、ちゃんと調べてこいよ。

すごく美しかった。
最近観たミュージカル映画の中で一番良かった。(『DEAR EVAN HANSEN』、『WEST SIDE STORY』などなど)
クレイジーなのかなと思うほど良かった。
デヒ

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