オモロい。
若き頃リュック・ベッソン、ジャン・ジャック・べネックスと並び称されたレオス・カラックスですがちょっと苦手でした。
リュック・ベッソンと並び称されると言うと現在では違うニュアンスが生まれますが……
しかしアダム・ドライバー主演ならばと鑑賞。
アダム・ドライバーが出ている映画は何となく面白そうな雰囲気が出ます。
変化球的なミュージカル作品という感じですが描かれている問題はすごくタイムリーな物です。
あとこう言う怖い話ありましたね。
笑いが持つ暴力性について考えさせられます。
アダム・ドライバー演じるスタンダップコメディアンはどんどん暴力的露悪的になっていきます。
ちょうどアカデミー賞のクリス・ロック、ウィル・スミスの事件を想起します。
奇しくもエンドロールでアダム・ドライバーがクリス・ロックに謝辞を捧げているのも象徴的です。
スタンダップコメディについて助言をもらったんじゃないでしょうかね。
さらにショービズ界のmetoo運動問題としても考えさせられます。
和洋問わずショービズ界では特権的例外的に女性問題を扱う悪弊が残っています。
「女遊びは芸の肥やし」なんて、好き勝手やりたい側の勝手な主張が罷り通る雰囲気は未だ残ります。
男女の成功格差問題、特に女性の方が成功した場合の男性の行動含めレオス・カラックスは自戒を含めて厳しく断じます。
最後まで徹底的にアダム・ドライバーに許しを与えない姿勢は好きですね。
ラストはもしかしていい感じに終わったらイヤだなと思っていたから素晴らしいですね。
「そっちの私ちゃうで〜」と妻に対しての思いを勝手に美化することすら許さないレオス・カラックスの厳しさに笑いました。
友達いてもなかなか勧めにくい作品ではありますが面白かったですね。