風呂敷を広げるだけの前編に対してお話を畳まなければならない後編はどうしても盛り上がりに欠けるのは仕方のない事ですがそれでもメチャおもろかったです。
前後編合わせて今年を代表するアニメと言っていいと思います。
昨今はマルチユニバースなどに対する観客のリテラシーが上がっているのでストーリーは飲み込みやすいと思います。
1970年代から流行ったアポカリプス物や1990年後半からのセカイ系の現代的アップデートを感じらました。
単純に世界が滅ぶか世界が救われるかの2択では無いというのは同時多発テロや東日本大震災を経験して、例え世界が終わったように感じる出来事の後も淡々と人生や世界は続く事を知ったからかもしれません。
悪人も善人もモブキャラや重要キャラも生死の区別は無く、ストーリー上の意味も持たせない死も多く有ります。
ここら辺りも震災後の感覚があると思います。
世界は救えたけれど友人を救えなかったおんたんが世界を見捨てでも友人を救おうとする姿にグッときます。
それも大がかりに何かのミッションをクリアするのではなく仲良く一緒にいるというだけなのもイイです。
何もしてくれない世界や世間、国家なんかを救う為に自己犠牲をせずに自らの周囲を大切にするこの感覚は「天気の子」でも感じましたし、現代的なリアルな感覚の気がします。
一昔前なら世界を救うために爆弾持って太陽に飛び込んだりしますしね。
あのちゃんと幾田りらの声優は相変わらず良かったです。
血が赤くなかったら何しても良いのかと思うくらいのゴア展開も素晴らしいです。
色々な過去作のオマージュと言うかコラージュ的な作風ですがしっかりと現代的な新しいアポカリプス物を描いてくれた傑作だと思います。