去年何の気なしに観た「ホーリーモーターズ」が初カラックスで、衝撃の映画体験だったため、めちゃくちゃ期待して遠征。
鑑賞後しばらく経っての印象は「アダム・ドライバーめっちゃ歌ってたな〜」「マッチョだったな〜」くらいなものになりさがってしまっているが(声が谷原章介というの同意)、おそらくカラックス節とされる演出やプロットは盛りだくさんでスパークスの音楽(歌詞も含めて)も堪能しました。
でも一番ワクワクしたのは、やっぱりオープニングのみんなで街を練り歩くシーンかな。
始めラブラブなカップルが“We love each other so much”とデュエットしていた同じ旋律で、死んだ妻から孤独な主人公に対して”You have nothing to love”と語りかけたり、おそらくミュージカルの常套手段なのだろうけど、なるほどとなった。あとあそこまでシームレスにセックスシーンが出産シーンに移行する演出ってなんかありそうでないような気がする…
それにしても全然愛は激ってなかったような。「これは映画ですよ。嘘ですよ。」というメタ的なスタンスは、心の内を全部歌い明かしてしまうミュージカルと相性がいいのかも知れないが、愛の表現についてはその両者に引き裂かれてしまって、激るどころかひたすら冷え切ってしまうしかない。
「アネット」後、改めて「ホーリー」を見直してみたところ、色々知ってしまっているから、もちろん初見の衝撃には及ばなかった。初体験は何物にも代え難い。