このレビューはネタバレを含みます
原作と出会ったのは2000年頃。
当時SWITCHで岡崎京子を取り上げていて、ドラえもんの絶妙なパロディーに、こんな視点から漫画が描けるんだぁ!と感嘆して読み漁ったのを憶えている。
ノストラダムスも過ぎ去って、なんとなくダルい日常がずっとこれから先も続くと悟りつつ、安堵と溜息の果てで僕は彼女の作品に救われたんだと思う。
みんな病んでるけど、みんな自分の中のどこかに潜んでいる誰かだった。
そして映画になっても、それはそのままの印象だった。原作読まずにいきなり観るとワケがわからない状態に陥ってしまいそうだけど(笑)初めて原作読んだ時と同じように後半に差し掛かって引き込まれていくのかな。
登場人物へのインタビューの挿入、物語の背景を浮き立たせてる感じがして、あれはあれで良かったと思う。なんだか当時、話題になってた橋口譲二氏の「17歳の地図」という写真集を思い出した。
それにしても、出演者みんなシビアなシーンを演じ切っていて、思わず唸らずにはいられないものがあった。
あんなにタバコ美味そうに吸ってるシーンが出てくる映像も久々に観たなぁ。(笑)
カンナのセリフがとても印象的。
「世の中みんなキレイぶってステキぶって楽しぶってるけどざけんじゃねぇよって。
ざけんじゃねえよ。いいかげんにしろ。
あたしにも無いけど、あんたらにも逃げ道ないぞ、ザマアミロって」
結構、ここ原作でも好きな場面で、僕もすーっとしたんだよね。
ラストシーンで山田君がハルナに「僕は生きてる若草さんが好きだよ。」と返したところもグッときた。
小沢健二の主題歌が友としての岡崎京子へ捧ぐ内容と知って、また涙。
序盤では色々とちょっと違和感をおぼえた場面もあったけど、最終的にはとっぷり浸かって楽しめた。
万人にはオススメできる作品ではないけど、おそらく平成時代の締めくくりみたいなもので、このタイミングで映画化されて良かったと思う。