数年前に金曜ロードショーで終盤を見た時以来、初めてしっかりと鑑賞しました。「炎のゴブレット」並みに良かったです。不死鳥から死の秘宝Part1までは見せ場が薄く、ドラマも無く、ずっと暗く単調なイメージでした。しかし、この映画は見せ場が続く、視覚的に楽しい。初期の頃を連想するような楽しさに回帰している部分が多かった印象。
金庫のシーンのインディアナジョーンズ2作目のようなトロッコシーン、そこから怪物が登場して飛翔して脱出、ホグワーツの倉庫での脱出劇等、これでもかと視覚的に豊か。映像の密度、スピーディさが良く、楽しさ重視な内容。そこからずっと戦闘に入りますが、スネイプの回想を途中に挿入することで構成に緩急が生まれ飽きなかったです。
最終作ということで各キャラクターのラストまで描かれています。中でも以前から感じていた大人をちゃんと描けていない問題はスネイプの回想によって、ぐっと掘り下げられていて良かった。ハリーポッターシリーズで最も深く描かれたキャラクターではないでしょうか。
ただやっぱり思うのは分霊箱の存在が引き延ばしにしか思えない、死の秘宝の存在も同様。結局それらが絡み合わずに最終決戦なので、これらの設定って必要だったのかと思います。そして、最終決戦一連はバトルが単調で視覚的に変わらない。またロンの母親が敵キャラを倒す一連を見て、やっぱりヴォルデモート軍団は弱いんじゃないかと思ったり、キャラクターのパワーバランスがどうなってるんだと思ったりもしました。戦争の俯瞰視点はもろロードオブザリングでしたね。ハリーとダンブルドアの会話一連が意図的なのか浮きすぎていてある種安っぽさを感じました。
卒なく映像化しているのは理解できますが映像的演出があまり乗ってきていないのでそれがあれば傑作でした。
【総評】
ラストにして久々に良作。良い作品ですがもったいないところもありつつ、しかし話が丸く収まり、ファン達も納得のラストだったんじゃないでしょうか。ただ、アズカバンまでがピークだったなという感じが否めない。
