Scriabin

盗まれた絵画の仮説のScriabinのレビュー・感想・評価

盗まれた絵画の仮説(1978年製作の映画)
4.2
とりあえずクロソウスキーのバフォメットを読もう。

発話による語りメインの説明的な映像。おそらく舞台だとやりづらいんだろうな、映画向きの構想だけれど映画よりもリアルタイムのパフォーマンスで見てみたい作品だった。とりわけ後半部分からの繋ぎの悪さが目立ったし、イメージの解釈にも違和感があった。
その上で、いまの関心に色々当てはまる話が多くて楽しかった。劇的な音楽が単調なナレーションにリズムを入れているのがまず好きだし、タルベーラを思わせる美しい白黒も良かった。光の撮り方は素晴らしい。
活人画はぴたりと静止できない、ゆらゆら揺れながらなんとかポーズを保つかと思いきや、後半のタブローは次第に動き出しドラマを語り始める。
コレクターはこの連作の解釈を小型フィギュアを使って考えていた。それが等身大となって、背景を飛び出し一堂に会したラストの部屋。6作は全て人物画であるという共通点がある。群像を3人ずつのグループに分ける5枚目のタブローなんかは、伝統的な人物画の手法を踏襲している。では人物画でなければこの話は成立しなかったのだろうか?
「何がこの絵を演劇的たらしめているのだろうか?照明である。」バロック絵画しかりフューズリしかり、絵画の「芝居がかり」を考える上で照明は見逃せない要素ではある。

ところで、こうしてパフォーマンスを通じて絵を解釈する方法は、実際この時期の美術史で流行していたのでは?
Scriabin

Scriabin