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ロード・オブ・ザ・リング/旅の仲間〈スペシャル・エクステンデッド・エディション〉のIDEAお休み中のレビュー・感想・評価

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本レビューは、『ロード・オブ・ザ・リング』の世界に興味を持っていただくべく書きました。
私自身、原作小説『指輪物語』を途中で断念→映画版鑑賞→原作小説読破という、コアな原作ファンの方々には到底顔向けできぬ流れで今作を好きになったものですから、理解が及ばぬところもございますがお許しいただきたいと思います。

まずは、世界観を端的に表した有名な詩をご覧ください。


三つの指輪は、空の下なるエルフの王に、
七つの指輪は、岩の館(やかた)のドワーフの君に、
九つは、死すべき運命(さだめ)の人の子に、
一つは、暗き御座(みくら)の冥王のため、
影横たわるモルドールの国に。
一つの指輪は、すべてを統べ、
一つの指輪は、すべてを見つけ、
一つの指輪は、すべてを捕らえて、
くらやみのなかにつなぎとめる。
影横たわるモルドールの国に。


今作は、言語学者でもあるJ.R.R.トールキン教授の創造した世界の中央にある"中つ国"で繰り広げられます。
冥王サウロン(暗黒の国モルドールの支配者)の邪悪な魔力が宿る"一つの指輪"を葬り去るべく戦うフロド(ホビット・小さい人)たちと、指輪を自らの手に取り戻し再び世界を闇に包むことを目論むサウロンの、まさに世界の運命をかけたファンタジー超大作であります。

(寄り道・その1)今作のタイトルにある『ロード』は"道(Road)"ではなく"支配者(Lord)"の意味であり、指輪の支配者たる冥王サウロンを巡る物語であるという解釈になろうかと思います。

ホビット、エルフ、ドワーフ、そして人間。
原作は、現代のファンタジー作品でも馴染みのある概念を確立し、昨今のファンタジーの礎を築いた作品であります。
そんな映像化不可能とされた原作を遂に映画化したのがピーター・ジャクソン監督でした。
彼の下で、原作を大切にしながらも映像化に適した表現への改変を経た今作は映画史に残る名作となりました。
彼の原作への敬意、そして愛が感じられたからこそ、コアな原作ファンからも概ね好評を得たのだと思われます。

大いなる旅路は、ホビットの住むホビット庄から始まります。
ある時フロドが、伯父であるビルボから受け継いだ金の指輪。
実はそれが、長らく行方知れずとなっていた"一つの指輪"だったのです。
ここからフロドは、"一つの指輪"をめぐる指輪戦争に巻き込まれていくことになります。

(寄り道・その2)伯父のビルボは"一つの指輪"を過去に経験した旅の中で手に入れました。その旅路を描いたのが『指輪物語』の60年前のお話『ホビットの冒険』であり、のちに『ホビット』としてピーター・ジャクソン監督により3部作で映像化されています。

ファンタジー作品で最も重要なのは、世界観をどこまで違和感なく映像として表現できるかだと思います。
(今作のような世界中にファンがいる作品なら尚更、違和感を感じさせてはなりません)
今作はその点においてまさしく成功例であり、情熱あるスタッフたちの決死の働きぶりにより夢幻のような世界が我々の眼前に広がるのです。
そよぐ風が肌に触れる感触、踏み締めた落ち葉の音、皆が飲み交わすお酒の香り。
全てが違和感なく調和し、我々を中つ国に誘うのです。

《二つの塔のレビューに続く…》
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