はまち

嘘を愛する女のはまちのレビュー・感想・評価

嘘を愛する女(2018年製作の映画)
3.5
予想していたよりよかった。

前半、サスペンスだと思って見てたらなんかしっくり来ないなーと感じるのだけれど、
途中から、あ、これラブストーリーなんだ、
とわかってからは完全に引き込まれていった。

ちょいちょいホラー要素が散りばめられるんだけれど、正直それはいらないかなと。
ただ、愛する人の秘められた過去を知る恐怖心はホラーと通ずるところがあるかもしれない。

最近、「コンフィデンスマンJP」や「キングダム」など、
派手な映画の強いキャラクターでの長澤まさみさんを見ていたので、
今作の役柄はそのギャップも激しく、
そしてさすがだなぁと舌を巻きましたね。

バリキャリで男っぽくて、家事とか料理とか苦手、
強くて経済力もあって一人で生きて行けそうに見える女性ほど、実は男性に甘えたい。
なんだかリアルでした。

私が、これはラブストーリーだ、と気付いたのは、
何年も自分を騙していた恋人に失望して、
怒りにまかせて家にある彼の持ち物を捨てようとしたり、
探偵を雇って彼の過去を調べたりするのだけど、
そのこと自体、
彼に対して恋愛感情があるという証だと思ったから。

何より、なんだかんだ言っても、職場でバリバリ働く自分を癒してくれる、穏やかで優しい彼は、
自分の求めるものを与えてくれる存在だった。
その大切さに次第に気付いていくあたり。

しかも、彼の過去を紐解いていくにつれ、
自分は彼の求めているものを与えられていたのか、
彼に甘えてばかりだったのではないかと自問自答していく様もラブストーリー感がある。

彼もまた、自分の背負った罪をそろそろ降したい、けど許されないのではないか、
と葛藤していたことが明らかになると、
出会い系サイトをこっそり利用していたことにも、
…は?最低だ、、、とはどうも思えなくなる。
さらに理想の未来を密かに小説としてしたためたりして。
サスペンス調に過去を探っていくことで、
嘘をついていた彼に対してだんだん同情するようになる。

となると、もう。
職場では器用に仕事をこなす女が、なりふりかまわず不器用に突っ走る、
しかも金を積んで探偵を雇ってまで。
観ている方は、早く真実を知って、
できればハッピーエンドを、と思い始める。

構成はわりとベーシックな気もしたけれど、
2人の男女を、回想や憶測、関係者の証言など、別の角度から映した希望のあるラブストーリーだと思えた。
まぁでも100%ラブストーリーと言い切るのもびみょうなところですね。
サスペンスとホラーの要素を入れた人間ドラマ寄りのラブストーリー?てとこかしら。
定まらない。
なので星はこのくらいで。
あとちょっと吉田鋼太郎さんの圧が強め(笑)
はまち

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