左手に障碍を持つ恋愛リタイアおじさんと、おそらくアスペルガーであろう不器用な美人のラブ・ストーリー。
何度もインサートされる蒼白き森を彷徨する牡鹿と牝鹿、人物に当たる光と陰、ガラスへの映り込み、駅のホームを包みこむなりかけの夜空などなど映像がとても美麗。
食肉処理場が舞台なので牛などの流血シーンはあるが、「血」を暗示させるかのようにシャツのボタン、モップの柄などの要所々々に差し色として赤が使われており、薄いブルー基調の背景の中でとても映える。
とはいえアーティスティックすぎるわけではなく、クスッと笑える寸前というさじ加減抜群のユーモアも豊富で間延びもない。
2017年金熊賞。
