エブリデイねむろう

怪談新耳袋 殴り込み! 劇場版<地獄編 前編>のエブリデイねむろうのレビュー・感想・評価

3.5
実話怪談集「怪談新耳袋」の制作スタッフが怪談で語られた場所を実際に訪れて検証を行うという心霊ドキュメンタリー「殴り込み!シリーズ」第9弾。
監督:市川力夫・青木勝紀

「渓谷の闇に潜む者」

都内にある渓谷。
ここより過酷ロケは幕を上げる。

ついにアルバイトから現場監督に昇進した肋骨センス力夫。
今宵、力夫の怨念が牙を剥く。

「突撃!墓地の道」

とある巨大霊園。
そこには全身赤と緑の子どもの霊が現れるという。

果たして子どもの霊と遭遇することはできるのか?

普通に住宅街のど真ん中で住民の生活道路にもなっている場所。
そこで怪しげなことをやっているおじさんたち。

もはやどっちが怪異なのか。

はちの首がもげるくだりは息ができんくらい笑った。

「忌まわしき霊トンネル」

恐ろしい心霊体験の噂が絶えない某トンネル。
そこで行われる過酷な一人検証。
果たして心霊映像を撮影することはできるのか?

やっぱギンティは本シリーズのアイドルだな。

「幽霊病院 前編 (ニコ生編)」

ニコニコ生放送で来場者16万人を記録した「殴り込み!」。
味を占めたおじさんたちはニコ生を恒例化したのだが。

都内にあるハウススタジオ。
元病院だった場所を改築し撮影用に貸し出している有名なスタジオである。
そこで行われた本エピソードの心霊ロケ。
その一部、ニコ生で公開収録されたものの再編集版。

これニコ生で見るのは楽しそうだなぁ。

「幽霊病院 後編」

このハウススタジオには有名な地下室があるという。
そこに車椅子で単独潜入、怪異を撮影せよ!

はじまる前から足音とか聞こえててヤバそう。

というか、地下がほんとに真っ暗でビビる。
つーかエレベーターの怪異が普通に怖すぎる。

<総評>

劇場版からビデオリリースに戻り、なぜか心霊ドキュメンタリーとして覚醒した感のある一本。
特にラストの廃病院はすごい。
ただこればっかりは、場所とタイミング次第なところがあるので(仕込みでもしていない限りは)狙ってつくれるものではないだろう。

ただ、そこを突破するための「不謹慎」なんだよなぁ。
そこのエンジンがどうにもかかりきらないもどかしさ。
企画としておもしろいものはやってると思うんだけど、おじさんたちが怖がる様子を楽しむのがメインになってきている。

演者のほうも「絶対に幽霊を撮影するぞ」という感じではなく、「怖い場所で怖いことをして怖がっているだけ」になっている印象。
そうじゃないんだけどなぁ。
本シリーズにおいて心霊とは、恐怖ではなく撮影の対象であったはずなんだが。

特にギンティ小林。
これは劇場版からも感じていたが、初期のころの幽霊に対するキレッキレな姿勢があまり見られなくなり、悪い意味で丸くなってしまっているのかなとは感じる。
もちろん、演者としては文句なしの特攻隊長ではあるんだけど、初期のころのギンティなら、途中で車椅子を放棄するようなことはしなかったと思う。

力夫。
アルバイトを経てついに監督にまで昇進。
ほんとにがんばったんだろうなぁ。
肋骨も折ったし。

ただ、撮影中にちょいちょい見せる不安げな表情は隊長向きではない感じ。
本来的にそういうタイプではないんだろうな、力夫。

幽霊を舐めてかかり不謹慎ネタで盛り上がる幼稚なおじさんたちの姿がもう一度みたい。

2024ー旧018