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甘き人生のadamのレビュー・感想・評価

甘き人生(2016年製作の映画)
4.1
ベロッキオの作るイタリア映画の質感に惚れた。陰影の強い色味とそこに差し込む光。群衆の雑多感。お涙頂戴ヒューマンドラマとしてみせることを否定した意図が確かに見えた。終始涙したけれど、それは映画が人間の悲しみを美化した跡がなく、客観的に、主人公の中にある美化された思い出に触れられたから。映画は解決ではなく提示なのだと改めて知った。織り交ぜられたテレビ映像やポップな音楽は、主人公の現実と対比した社会のモチーフであったり、所々に落下の伏線や、映画的なかっこよさを見せてキメてくれた。この監督が生きているうちにスクリーンで出会えて良かった。
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