いその

しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイスのいそののネタバレレビュー・内容・結末

4.3

このレビューはネタバレを含みます

目にうつるものや起こったことを、歪めたり過大にも過小にも捉えたりせず、ありのまま受け止めることの大事さを感じた。
決して自らを卑下したりせず、自己肯定を失わない大事さ。
「犬より手がかかる」と言われて、自分を卑下したりすることなく「犬よりはマシ」とはっきり言い返すモード。
どこか自分に自信がなく、周囲の目を気にして「だめな亭主だと思ってるんだろう」と迫るエベレットとの対比が印象的だった。

だからこそ、モードの最期の「私はあなたに愛されたの」という言葉と、そのあとのエベレットの表情に、じんわり。
エベレットはずっと自信がなかったかもしれないが、モードが言うのだから、確かに愛は伝わっていたのだ。
エベレットにとっては、「私はあなたを愛している」よりも、ずっと幸せな一言なんじゃないかと思ったら、ものすごく泣けてしまった。

公式サイトには「どんな人生でも自由な精神で楽しめば、素晴らしいことが待っていると教えてくれる映画」とあったが、自由な精神の土台になっている「ありのまま受け止める力」と「自己肯定力」は、なかなか手に入れられないものと思う。

「(絵は)教えることじゃない。描きたいように自由に描くの。」というような台詞があったが、それが多くの人にとってどれだけ難しいことか。
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