Yoko

デトロイトのYokoのレビュー・感想・評価

デトロイト(2017年製作の映画)
4.5
60年代末のアメリカ、デトロイト。
黒人系の人々を中心とした違法酒場の摘発のため突如デトロイト市警が乗り込んできた…。


恐ろしく、厚い苦しさを伴う作品だった。
この映画は「面白い/面白くない」という視座を優に超えてしまっている。
これは映画としてのクオリティの高さを示す反面、この視座に立って映画をドラマとして楽しみたいという欲求すら潰す凶器になりかねない。
楽しむなんて、そんな甘いことは言ってられない。
ただただ死を悲しむ状況しか与えられず、加えてとにかく恐ろしかったのだ。

スクリーンにリアリティを追求したという点においては『ダンケルク』とは比べ物にならない。
追求した「リアルらしさ」はもはや「リアル」。
ドキュメンタリーの形式をとらずにここまで肉薄できるのは、カサヴェテス『こわれゆく女』くらいではないか?
今作は荒々しくも強烈な緊迫感を伴い襲ってきた。
終わって正直ホッとした気持ちは否定できない。

真剣な作品を体験することが出来た。
ビグロー監督、『ハート・ロッカー』はさほどハマらなかったけど、今作で同輩よりも一歩上の境地に行ったことは間違いない。
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