このレビューはネタバレを含みます
2018年劇場鑑賞5本目。
ずしっとくる映画でした。
この映画と昨今のニュースを見比べると、アメリカという国は50年前と何も変わっていないのではないかと思わされます。
そして、最早単一民族国家とは言い難い日本においても、決して他人事と考えてはならないでしょう(そもそも差別の起点となるのは民族・人種だけではないですが)。
こと民族・人種という点においては、マジョリティに属する自分自身も、意識的かどうかは別として、あの"警官側"に転じ得るのだということを自覚しなければならないと思います。
なお、警官らが無罪になったことに納得できない、正義がないと感じた方もいるでしょうが、自白法則ないし違法収集証拠排除法則からすると、司法判断としては適切だった(やむを得なかった)ようにも見えました(勿論証拠を精査したわけでも何でもないので、そう"見えた"というだけですし、実際の訴訟の判断過程も知りませんが)。
"過去のこと"でも"他所の国のこと"でもなく、今の日本を生きる我々のこととして、「差別」を考える契機になる作品だと思います。
本作がノミネートもされないとは、今年のアカデミー賞はさぞ傑作揃いなのでしょう。