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ラウンダーズのsのネタバレレビュー・内容・結末

ラウンダーズ(1998年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

ラウンダーズ/そして、愚かものが生まれた

あれ、そういえばワーム(エドワード・ノートン)ってどうなったの?とエンディングで観客に疑問を抱かせることに成功した時点で、よくよく考えたらマイク(マット・デイモン)は抱えた負債を0にしただけに過ぎず、ワームが示すレールに見事なぐらい着地したという、サクセスストーリーとはほど遠いものだということが見えてくるわけである。

悪魔的な人物を演じることが上手いノートンの手腕が手伝って、才気ある青年が悪魔にそそのかされたという構図が否応なしに浮かび上がってきて、しかしまあ、このワームが全くカリスマ性に欠けた人間ということがポイントで、そんな奴にほいほい唆されたマイクがあの街を出たところでどうなるのか想像するのがそら恐ろしいくらいで身震いしたものである。

人を狂わせるのは失敗によるトラウマじゃなくて、成功体験なんだよね。という言葉を体現するギャンブルで描いたのが良くて、アメリカンドリームという狂気に片足を突っ込むまでのお話として、よく出来てるんじゃないかしら。

とすれば、この話がもつポテンシャルはこの次によってこそ発揮できるわけで、踏み入れた狂気の場所にマイクは飲まれてしまうのか、彼が狂気を蓄えていくのか‥‥‥?と、続編を待ち望んでる本国のファンが多いというのも納得だし、続編の企画はワインスタインの失脚と共に消えたのは、あーあって感じ。

ポーカーというものに全く興味ないので、この映画で行われるゲームの描写が正しいのか否かは分からなかったけど、むしろそういった門外漢なワタシを楽しませてくれたという時点で、面白い映画なんじゃないのかな。

しっかし、マット・デイモンの理想を蓄えた痛ましいまでの青青しさを、徹底した現実主義で射抜くノートンの演技の妙は、バードマンで見せたこの人の演技内演技の凄まじさの片鱗を見た気がして、もお〜!とっととオスカー取っちゃいなYO!と叶うなら、強めに彼の背中を叩きたい。

スコアが異様に高いのはワームくんが大好きだからです。
久しぶりに映画の中のキャラに恋しました。

願わくば、デイモンとノートンの演技合戦をまた観たい。

あ、ボーンレガシーで一瞬その希望をみせてくれたけど、ボーンじゃなかったしな。

あーあ。
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