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ワンダーウーマン 1984のsのネタバレレビュー・内容・結末

ワンダーウーマン 1984(2020年製作の映画)
1.5

このレビューはネタバレを含みます

これ、題材はいいんだけどなぁ…って作品でした。

資本主義の権化っぽい男のヴィランに見初められる形で、冴えないバーバラ(クリステン・ウィグ)が力を得る展開とか、結局女性が力(権力)を得るには男から与えられる構図があるよね。とかを分かりやすく提示してみせたり、

願いを叶えてもらっても、それを拒否する。つまり、悪役が行う行為とは別の切り口で未来を切り開こうとする主人公は、昨今のヒーロー映画に欠如していたものなんじゃないかなあと思います。

私は、『キングスマン』とか『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー2』とか『エンドゲーム』とかの映画は、その解決策を取っちゃったら悪役としてること同じじゃん!と感じてしまい、なんというか、ヒーローが持つ正義で勝利したんじゃなく、ただ単純に力比べに勝った話がヒーロー映画として大絶賛されるのをなんだかな…と思っていたので、今作のダイアナが取る行動にはとても感動しました。久々に私のベストムービーの1つ、リチャード・ドナー版『スーパーマン』を見た時の高揚を思い出しました。

しかし、ラストに至るまでの物語のツイストのさせ方が雑すぎます。

間に派手な対人戦とかカーアクションがあるのはいいんですが、「なぜこの場所でカーチェイスをするのか?」「なぜ正面突破しようとするのか?」など、アクションの場面に物語的整合性はなく、ただ見せ場としてしか機能していないです。要するにアクションシーンでは物語の進行が停滞しているんですよね。

そして一番雑だと感じたのは一作目から登場するある人物の扱いなんですが、本当に大切な人なら一緒に戦場に連れ歩いたりするでしょうか?それが一番の疑問です。一作目が2人で行動していたのは、ダイアナがまだ人間社会に不慣れだったからという物語上の理由がありました。今回はダイアナさんが大人になったんですよね?何十年ぶりかの再会を経て、2人の間に生まれた空白の時間故のすれ違いとかはなく、出来上がった関係のままのイチャイチャを見せられてもな…というかせっかくイケメン俳優さん起用してるのに何であんなだっさい格好させてるの…あ、あの俳優さんがオフでは私服ダサいっていう中の人ネタ…?うーん、なんにせよ甦りの設定とかも雑で、生かそうと思えばいくらでも生かせたのにな…って思います。この人の描写が雑なせいで、途中のダイアナの飛躍がイマイチになってます。彼のことを乗り越えて、彼女の孤絶が爆発して…って最高のシーンのハズなのに~!

ラストの展開は一応褒めたんですけど、あの展開にするなら前の段階で、大衆が抱える現実の“負”の側面をもっと見せるべきだったと思うんです。私たちだって現実の問題を忘れたいから映画の“嘘”に魅せられてる側面もあるわけで、“嘘”に縋りつきたい気持ち、分かるじゃないですか。もっともっと、ウソ/ホントをコイントスみたいに脚本上でドライブさせるべきなんです。でもそれがないから、なんかすっごいフワフワした絵空事の説教を聞かされてる気分になるんです。


舞台を80年代にしたって聞いたとき、絶対冷戦の話だ!と思ってワクワクしていたらヒッジョーに表面だけをなぞるだけで、そこももっとフォーカスして欲しかった。というか、冷戦扱わなかったら80年代にする意味なくないですか?音楽も全然80年代じゃなかったし。


色々文句を言ってきましたが、私は一作目の『ワンダーウーマン』が大好きだし、画面や音楽がダークで引き締まった印象のあるDCUが好きなんです。JL組の中で好調なのもワンダーウーマンだけだから凄く期待してたんですけど、結果は残念としか言い様がないです。

でもDCUがMCUの真似事するんじゃなくて、リチャード・ドナー版『スーパーマン』ヒーロー在り方を突き詰めて見せてくれたのは有難かったし、MARVELと肩を並べるにはもうその道しかない気がします。

だから今作を失敗作じゃなく、挑戦の第一歩として…って、DCU映画を観て何回言ってきたでしょうね…?

あ〜!早く『レッドサン』のスピンオフ映画が観たい!
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